プロが出る「100km世界選手権」の優勝賞金は0円

しかし、現地までの渡航費などは、基本、自費でまかなわないといけない(※日本陸連から数万円の補助はある)。さらに出場料はなく、順位に関係なく賞金もない。世界一になったとしても懐が潤うことがないどころか、完全な赤字になる。

なお岡山の優勝タイムは6時間12分10秒。岡山は同じ実業団チームに所属する他の選手と同じように給与をもらって選手生活をしている。世界から集まってくるウルトラランナーはメーカーと契約を結んでいるプロランナーもいれば、趣味の一環という者もいる。

ウルトラマラソンを登山で例えれば、世界大会への参加はエベレスト登頂に似ているのかもしれない。お金のためではなく、「自分の目標を達成したい」というシンプルな動機が、大きなモチベーションになっている。

一方で国内ではウルトラマラソン(フルマラソンより長い距離を走るロードレース)の人気は高まっている。例年6月下旬に開催される北海道のサロマ湖100kmウルトラマラソンは、コロナ禍前、100kmの部(定員3550人)が募集開始40分ほどで締め切られたほどだ。

テレビ局はマラソンを罰ゲーム的に扱うことがあるが、2万円ほどの参加費を支払い、自費で北海道まで行き、100kmレースに出場したいと思っているランナーは少なくないのだ。

今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンは山口純平(エルドレッソ)が6時間06分08秒で優勝。公認されている世界記録を上回った(※世界最高記録は6時間05分35秒。世界記録としては承認前となっている)。

なお山口は42.195kmを2時間31分40秒、中間点を3時間0分13秒で通過。後半は少しペースが落ちたものの、キロ3分40秒ほどで100kmを走り続けた計算になる。

100kmレースの報酬でいうと、シューズブランドのHOKAが5月に行われた「第11回柴又100K~東京⇔埼玉⇔茨城の道~」というレースで『HOKA 100km世界記録チャレンジ』(※大会で世界記録を達成したランナーには、賞金100万円を授与するとともに、HOKAのシューズとアパレルを1年間提供し、競技の継続的なサポートを行うというもの)を実施。達成者はでなかったが、100kmマラソンで100万円以上を稼ぐには、世界記録以上の“価値”が必要になるといえるだろう。

賞金1000万円となると、どれだけの“パフォーマンス”を見せるべきなのか。