清宮克幸(ラグビー ヤマハ発動機ジュビロ監督)
自信に満ちた言動は変わらない。発足10年目を迎えたラグビーのトップリーグ。就任2年目の清宮克幸監督が率いるヤマハ発動機が「台風の目」となりそうだ。
開幕前のことだった。チーム状況を聞けば、「いいですよ。(トップとの)差はすごく詰まっている」とにやりと笑った。
「10年目でしょう。同じチームばかりが優勝するのは面白くないでしょ。外からバーっと。大外強襲があってもいいかな、と」
大外強襲とは競馬用語。先頭集団を横目に外からイッキに駆け上がり、一着を狙う走りをいう。かつて母校早大を率い、13年ぶりの大学日本一に輝くなど5年間で3度も頂点を極めた。サントリーでも監督として王座に導いた。根っからの勝負師。競馬にも造詣が深い45歳ならではの言葉だろう。
目標を定めると、環境を整備し、メリハリの効いた強化を推し進める。選手をその気にさせる。勝負師たるゆえんだ。
よく「絶対」という言葉を使う。「おまえら、こうしたら、絶対勝つから」「こう組んだら、絶対、スクラム押せるから」と。
トップリーグでは過去、神戸製鋼、東芝、パナソニック(旧三洋電機)、サントリーが優勝してきた。ヤマハは3位が一度あるだけで、昨シーズンは8位に終わった。でも戦力補強は着実に成され、フィジカル強化、チーム整備は進んだ。
「昨季から全部、アップしている。数字で測れるもの、筋力とかフィットネスの数値はみんな、上がっている。もちろん経験値も上がった。昨季のほうがよかったというものは皆無です」
今年はFWだけがフランス遠征し、スクラム強化の合宿を組んだ。夏合宿の練習試合では強豪を撃破した。SO(スタンドオフ)大田尾竜彦、CTB(センタースリークォーターバック)マレ・サウ、FB(フルバック)五郎丸歩らの名前を挙げ、「実はヤマハはバックスでトライをとっているんです」とまたにやりと笑った。
「優勝する空気はこれから、つくります。勝てば、自然と出てきます。まあまあ。結果を見てください」