35歳までは成績を伸ばす
大谷翔平は7月5日に29歳になった。メジャーリーグ選手全体の平均年齢は28.6歳前後だから、もはや若手ではなくベテランの領域になりつつある。今後はどうなっていくか。
「年齢とともに試合での出力は年々落ちていくと思いがちだけどそうじゃない。
ダルビッシュ有選手が『18歳の自分は時速150キロのボールを投げるのに80%の力で投げなければいけなかったが、筋力の総量を年々上げていくと30歳ころには20%くらいで投げられるようになった』と言いましたが、トレーニングを積んで年々筋力をつけていけば、燃費が良くなっていくのです。
試合での疲労度も下がるし、うまくケアすれば回復も若い頃より早くなる。それを考えると大谷選手は35歳くらいまでは成績を伸ばすのではないでしょうか。
今、トレーニングや栄養管理について、大谷選手にアドバイスができる専門家って、日本にはほとんどいないでしょう。もちろんここまで専門家のサジェスチョンはあったでしょうが、彼は自分の身体について徹底的に知り抜いて、自分なりのトレーニング法を作り上げ、身体を作ってきた。大谷選手が本当にすごいのはそういう部分ですね」
大谷に唯一心配していること
根鈴氏の話を聞いていると「『天才』とは努力を継続する才能がある人のことだ」という言葉が浮かんでくる。
23年前にメジャーリーグを目指して単身渡米した根鈴氏は自らの経験に照らして、大谷翔平の天賦の才に加えた努力のスゴさ、それを継続できる精神力に、心底から感嘆しているのだ。
大谷翔平の才能と努力は、根鈴道場に通う若者をはじめ、自分の足で歩こうとする多くの若者を大いに鼓舞するだろう。
ただ一つ、厳しい競争社会であるMLBでは、不慮のアクシデントも多い。つい先日も僚友のマイク・トラウトが負傷者リスト入りした。大谷はすでにトミー・ジョン手術の洗礼を受けているが、今後、大きなケガ、故障がないことを切に祈りたい。