競合店がやっていない「新しいカーメンテナンス」
当時の新しいカーメンテナンスとは、
・手洗い洗車
・車検
・中古車販売
・レンタカー
といったカーディーラーが提供してきた高度な専門技術が求められるカーメンテンナンスを指します。「新しいカーメンテナンスの提供をするorしない」という横軸は、初期投資(設備投資)が必要で、ランニングコスト(人件費)もかかります。縦軸の価格競争を回避し、横軸での差別化が図れることでそれを上回る客単価が得られ、投資回収もランニングコストの回収もできるとの試算から、同サービスを展開することを決断しました。
こうして縦軸と横軸の2軸で見ると、従来のGSが左上①「ガソリンが高くて、新しいカーメンテナンスなし」に該当します。それに対し、安売りのGSは②「ガソリンが安くて、新しいカーメンテナンスなし」に該当します。人員は最小限にしていて、手間のかかるカーメンテナンスは提供せず、安売りに徹しています。
ここに2軸目を足すことで新たな選択肢が生まれました。それが、顧客が求めるカーメンテナンスサービスを提供するGSか否か(=顧客の車の面倒を見るか見ないか)です。
閉鎖寸前の店舗が超大型店舗に対抗
この選択肢を提示できることで、③の選択肢、ガソリンは競合より高めでも、ガソリンを給油するついでに面倒な洗車や車検の手続きなど、自分の車のメンテンナンスをしてほしいという層が発掘できると私は踏みました。
そして、この2軸思考を実践で試す時が訪れます。
当時、担当販売店が価格競争に巻き込まれ、このままの経営状態で推移した場合を試算した結果、実に2億円を超える赤字見込みとなりました。そのため会社からは競合が強いエリアについては、閉鎖もしくはローコストでのセルフ化の2択が提示されました。地域の販売店さんにとって安易な閉鎖は受け入れがたい選択肢です。またローコストを図るセルフ化をしたところで、安売り競争を続けるだけです。
そこで、大手スーパー併設の超大型店舗GSの新規出店に対し、私は既存店にて「2軸思考」にて対抗することを提案しました。人員はミニマムで、ひたすらにガソリンの安売りをしかけてくる競合に対し、こちらは洗車スタッフ、整備士を配置し、給油だけでなく新しいカーメンテナンス(手洗い洗車・車検等)を提供するGSとして、リニューアルオープンする案です。