国民の批判の矛先が紀子さまに変わった
それが、令和になると、即位へのご祝儀的な意味もあり雅子さまについてのネガティブな報道は出にくくなって、なんでも素晴らしいと称賛された。新型コロナ禍における公務の少なさは、感染拡大を避ける配慮とされ、愛子さまが学習院大学に通学されないことは両親に感染させないための親孝行と褒められたが、やはり打開策が必要な話なのだから、これこそ贔屓の引き倒しだ。
そして、その反動として紀子さまに、誹謗中傷が浴びせられるようになったが、そのほとんどが不公平なものに見える。
「宮内庁職員に厳しすぎる」という批判は、これまでもさまざまな女性皇族が同じように批判を受けてきたが、紀子さまが厳しい注文をされるのにはやむを得ない事情があった。雅子さまのご不調とか、悠仁さまという将来の皇位継承予定者を抱え、秋篠宮家に負担がかかる一方、それにふさわしい職員や警護体制の不足、施設の貧弱さから注文をつけたくなるようなことが多かったのである。
また、お側の職員数も少ないから、不満があったときに、美智子さまや雅子さまに比べて紀子さまが自分で言葉に出さざるを得ない環境もある。
紀子さまの気苦労はなかなか減らない状況
秋篠宮さまが皇嗣殿下になられて、スタッフや予算・設備の不十分は大分改善されたし、皇族への過度の誹謗中傷に対応する体制も模索されている。
ただ、警備体制などは、「天皇ご一家→上皇ご夫妻→皇嗣ご一家」という官僚主義的序列にこだわっているせいで、対外的活動が桁違いに多く、現実的に誹謗中傷の対象になっている秋篠宮家がさらされているリスクにふさわしいものとはいえないし、紀子さまの気苦労も減っていないように見受けられる。
秋篠宮皇嗣殿下が、歴代の皇太子と異なる存在でいらっしゃることは「次の天皇は秋篠宮さまか、悠仁さまか…『皇嗣というジョーカー的立場』に期待していること」で指摘した通りだ。
秋篠宮ご一家が置かれている特殊な立場にふさわしい体制をどう作っていくか。宮内庁だけでなく岸田総理など政府全体として取り組まないと、紀子さまの心痛は増すばかりだろう。