ウサギとカメ②

ウサギとカメは競走することになり、日取りを決めた。ウサギのほうは、競走のことなど気にもかけないで、遊びほうけていた。一方のカメは、親類中の家を訪ね歩き、競走の日の朝早く、会場に集まってほしいと頼んだ。

さて、かけっこの当日、カメは会場に集まった親類のカメたちに、一定の間隔で道の脇に隠れているようにお願いした。

いよいよ競走が始まった。ウサギはのんびりと走った。カメがどんなに頑張ったところで、自分にかなうはずがないと考えたからだ。しばらく走って、もう十分に引き離しただろうと思い、立ち止まって後ろを向いて声をかけてみた。

「カメくん、まだついてきているかい?」

するとその近くに隠れていた親類のカメの一匹が「ええ、すぐ後ろにいますよ」と答えるではないか。

ウサギはびっくりした。ぼくの耳がどうかしてしまったのだろうか。カメがぼくについてこられるはずはないんだが……。

ウサギは気を取り直して、今度はもっと速く走り始めた。しばらくして一休みしたくなったウサギは立ち止まって、また呼びかけた。

「カメくん?」

ところがどうだろう。また、その近くに隠れていたカメが出てきて、「ぼくはここにいるよ、ウサギさん」と答えるではないか。

すっかり慌ててしまったウサギは、ものすごい速さで走り出した。足がほとんど地面につかないほどだった。こうしてウサギはゴールの半分のところまで来た。ウサギは、はあはあとあえぎながら声をかけた。

「カメくん?」

ところがどうだろう。また、その近くに隠れていたカメが出てきて「なんだい、ウサギさん」と答えた。

これはいったいどうなっているんだ! ウサギは何がどうなっているかがわからないまま、再び走り始めた。それからは途中で立ち止まったりせず、ひたすらゴールをめざして走り続けた。

やっとのことでウサギはゴールに飛びこんだ。だが、ゴールするやいなやパタリと倒れて死んでしまった。

カメとウサギのピクトグラム
写真=iStock.com/manus1550
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