宮﨑駿考案の架空生物「ミノノハシ」

物語のラストシーンでは、パズーが製作中だったオーニソプター(羽ばたき飛行機)を登場させるアイデアもあったが、オーニソプターを飛ばすとなると作画が難しくなるため、これは見送られた。

そのかわり本編で活躍したのがフラップター。これは昆虫型羽ばたき飛行機で、英語のフラップ(羽ばたくという意味)をもとに宮﨑が命名したものだ。作画作業が本格化する前に原画頭の金田が、いくつかの羽ばたきのパターンをつくってテストしたが、昆虫の羽ばたきを、秒24コマのアニメで表現するのは難しく、金田はいくつもの羽ばたきのパターンを描いてテストを行い、最終的に流線で表現することになった。

またラピュタの庭園に登場する小動物「ミノノハシ」にもエピソードがある。色指定の保田道世が、本物のミノノハシの色を知りたいということで、演出助手の須藤典彦に資料探しを依頼。須藤は「17世紀に絶滅した」という宮﨑の絵コンテの記述を手がかりに図書館で調べたものの、資料が一切見つからない。困って宮﨑に相談したところ、実はミノノハシというのは、宮﨑の考えた想像上の生き物だった、というオチがついたという。

ロボット兵は『ルパン三世』からの派生

ラピュタを守るロボット兵は、ポール・グリモーの『やぶにらみの暴君』に登場するロボットにオマージュを捧げたものだ。宮﨑が脚本・演出を担当したTV版『ルパン三世』の最終回「さらば愛しきルパンよ」に登場したロボット、ラムダの発展型でもある。

宮﨑は、このラムダの時計の部品のような顔を気に入っていたにもかかわらず、TVでは十分に生かし切れなかったことから、『ラピュタ』に再登場させたという。推進方法がプロペラから、ジェットエンジンへと変更になるなど細部はかなり異なるが、『ラピュタ』に登場したことで、魅力的なキャラクターとして独り立ちした。現在は三鷹の森ジブリ美術館の屋上に「守護神」として置かれたその姿を見ることができる。