大切なのは、宗教2世の心が少しでも救われること
しかし、宗教2世といっても十人十色です。なかには、「このノウハウはすぐには実践できないな……」と感じる人もいるでしょう。
たとえば、ぼくは本書で、自分から遠い人(教団外の人や教団の価値観にいい意味で染まっていない人)に話を聞いてもらうことや、思考停止にならないように、さまざまな本を読むことを推奨してきました。ですが、宗教2世のなかには「教団外の人はサタンだ」と教わったり、教団の思想とはべつの価値観を伝える書籍に対するマイナスイメージをたたきこまれてきたために、そういった行為に抵抗感を抱く人もいます。
教団の文化や教祖・宗祖の教えなどに沿ったものとは違う行動を選択することが容易にできない人もいるのです。そんな人たちは、決して焦らず、長いスパンで自身のこれからを見すえて、徐々に、ゆるやかに、しなやかに変化を期してほしい。そう願っています。
まず大切にしていただきたいのは、あなた自身です。一歩一歩、丁寧に歩みを進めてください。その結果として、教団を退会することを選ぶのも、教団に残ることを選ぶのも自由です。本書は、どちらの選択がいいかをのべるものではありません。もちろん、創価学会との関係についてもおなじで、学会から離れることを「是である」と主張したいという意思は、ぼくにはありません。
ただぼくは、それまでの自身の生き方に違和感を抱いたり、苦しんでいる宗教2世の心が少しでも救われることを願っている。それだけなのです。