会社人生を大きく左右するのが、人事部の「閻魔帳」である。普段、顔を突き合わせることもまずない人事部の面々は、社員の“地獄行き”“極楽行き”をどうやって決めているのか?
仕組みに馴染めず、志半ばで退職
一方で、日本的なよさを維持しつつも、業績評価にこだわる企業もある。
「成長意欲の乏しい人はこの会社に合わない。間違って入ると、辞めていくことにもなる。決められた時間、机に向かっていれば給与がもらえるという甘い考えではついていけない。社長の柳井(正、会長兼務)は、『働く以上、成長しなきゃ意味ない』とよく言う」――ユニクロで有名なファーストリテイリングの広報チームリーダー、青野光展氏はそう語る。国内はもちろん、中国など海外進出にも貪欲な同社だけに、優秀な人材ほど活躍できるための厳しいセレクトが待ち構えている。仕組みに馴染めず、志半ばで退職していく人も少なくないようだ。
新卒で入社するとまず、全員店舗に配属される。早い人は24~25歳で店長になり、30~40人のスタッフを指揮する。無論、本部が期待する一定の売り上げと利益が求められる。
本部は、きめ細かな研修を行うなど様々な面で若き店長を支援していく。息切れする者が出る半面、優秀な者は「スター店長」に、さらには「スーパースター店長」に昇格していく。
「まずは、うまく店舗を運営するという意味でチームワークをつくらないといけない。それと並行し、店長は自らのマネジメント力などを上げていくことが求められる」(青野氏)
ここに、ユニクロらしさがある。高い実績を残すためにはチームワークが大切ではあるが、それだけでなく、個人として優秀であるかどうかを求めていく。1人ひとりの社員の実績や仕事への姿勢の評価をけっしてあいまいにはしない。
それを判断する1つの場が、人事評価を行う「自己申告」である。これは厳しい「人材育成」の場にもなっている。
大企業では、「自己申告」は得てして部下の人事評価や処遇を決定するための材料を集める場になりがちだ。そこには、人材育成の視点が欠けている。