「維新の躍進をアシストしただけではないか」

立憲と維新の共闘は、最初に思い描いていた選挙協力まで到達することなく、中途半端に終わってしまった。

小西氏のサル発言がなくとも、統一地方選で議席を伸ばした維新は立憲との共闘から離れ、独自路線を強めていたと思うが、そんな維新にとってはこの発言が渡りに船となったのは間違いない。

維新との共闘について、立憲内では「国会論戦で維新に後ろから球を撃たれずに済んだだけでも効果はあった」と評価する声もある。一方で、若手議員からは「共闘は国会での維新の存在感を強めて、統一地方選の躍進に向けてアシストしただけだったのではないか」と嘆く声も聞かれた。

筆者も、維新と共闘するならば、選挙協力まで持っていけるよう、統一地方選後も縁を切られないほどに関係を深め切ったほうが良かったのではないかと思う。こんなことを言っても後の祭りではあるが、そこまでの関係に持っていけないというのであれば、共闘など働きかけずに、自党の政策やスタンスに磨きをかけることに全力をかけていたほうが良かったのではないか。

国会議事堂
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反対なのにフィリバスターを発動できなかった

例えば、外国人の収容・送還のルールを見直す入管法改正案についての問題がある。この法案を巡っては、自民、公明、立憲、維新、国民民主で修正協議が行われ、立憲が、難民認定手続きの公平性を担保するため、第三者機関による審査などを加えるよう求めていた。ところが、与党が示した修正案では審査について「検討」を付則に記すのみにとどまったため、立憲のみが反対に転じた。

このようなケースでは、法案採決の日程を遅らせて世間の関心を高めるため、法務委員長の解任決議案や大臣不信任案を提出するなどの議事妨害、いわゆる「フィリバスター」を発動するのが立憲の定石だ。

ところが今回は、共闘関係にある維新が修正案に合意したため、衆議院ではフィリバスターを発動できず、あっけなく法案が可決されてしまった。廃案を訴える大規模デモが国会で行われたのは、法案が参議院に送られた後となり、参議院では委員長解任決議案が提出されたが、山場を作るのが後手に回った印象を受ける。

2021年の通常国会では同法案についての自民と立憲の修正協議が決裂し、その後は立憲が法務委員長の解任決議案をすぐさま提出した。世論の盛り上がりを受けて最後に廃案に追い込んだ当時と比べると対照的だ。