「150議席を取れなければ辞任する」とぶち上げたが…
立憲民主党が崖っぷちに立たされている。
4月の統一地方選では議席数を維持したものの、衆参5補選では全敗を喫し、報道各社の世論調査によると、政党支持率で日本維新の会を下回る結果が続いている。
こうした中、泉健太代表は「(次期衆院選で)150議席を取れなければ辞任する」と宣言したが、とても現実的な数字とは思えない。立憲所属の衆議院議員は現在97人。あまりにも現状とかけ離れた目標に、党内からも当惑の声が上がった。
なぜ、立憲は今のような状況になってしまったのか。
筆者は、維新との国会内共闘が中途半端に終わってしまうなど、軸が定まり切らなかったことに一因があると考えている。
どういうことか。立憲のこれまでの動きを振り返りながら分析をしていきたい。
党内議員「何をしたい政党なのか見えない」
「自民党の一部と同じような政策の新自由主義や、あるいは自助ばかりを強調する政治や、核共有を検討するような政治の方向は対立軸にならない。改めて、私たちこそが、この立憲民主党の歩む道こそが、自民党に代わり得る政権勢力の国民が望む選択肢である」
5月10日、立憲民主党本部で泉代表は、党所属の国会議員が集まる両院議員総会で声を張り上げた。この「核共有を検討するような政治」は維新を指しており、これまで国会内で共闘していた関係から対決姿勢へ大きく舵を切った瞬間となった。
総会は泉代表の冒頭あいさつ以外は非公開で行われた。終了後、蓮舫議員が報道陣の取材に応じ、「質疑の中で『立憲民主党が何をしたい政党なのか見えない』という声が3分の2くらいから出た」と会の様子を説明した。蓮舫氏自身も「何をやったのか、何にしがみつきたいか、何を発信したいか、自分で今日夜持って帰ってしっかり考えてくれ」と泉代表に問いかけたという。
そもそもスタート時点からすれ違っていた
「何をやったのか」……。
最近の立憲の動きで最も大きかったのは維新との国会共闘だろう。
2021年衆院選、2022年参院選と維新は議席を大きく伸ばし、逆に議席を減らし続けてきた立憲にとっては脅威となっていた。
そこで、2022年、臨時国会が始まる前の9月、立憲は維新に国会内で共闘することを持ち掛けた。当時大きく問題となっていた旧統一教会問題など6項目で連携を深めることで合意。両党はこの問題で被害者救済法案を共同提出するなど成果を上げた。
これまでいがみ合ってきた両党が手を組んだ理由は、表向きには政権と対峙するために野党第1党と第2党が共に行動することでスケールメリットを活かすということがあったが、立憲側には、ゆくゆくは選挙協力につなげていきたいという思惑もあった。
「維新は勢力を伸ばしてきたとはいえ、衆院選で選挙区を勝ち抜く地力は、関西圏以外はまだない。こうした中で両党が各選挙区で候補者を乱立させるよりも、候補者を調整して一本化させたほうが互いにプラスになる。そこまで維新との関係を持っていけるかどうかだ」と、このころから立憲幹部は話していた。
しかし、ここにズレがあった。維新は選挙協力までは考えておらず、あくまで立憲と組んだ方が国会で与党と対峙する上で存在感を発揮することができると考え、共闘を受け入れていた。
このように、立憲と維新の共闘はスタート時点から同床異夢の微妙な関係にあったと言えるだろう。