政策の隔たりも大きかった
そもそも、立憲と維新は政策的にも隔たりが大きい。
維新の主な政策は「身を切る改革」というスローガンに代表される、無駄を徹底的に削減するなどの行財政改革だ。対して立憲は、医療や介護、保育などのベーシックサービスを拡充するという立場をとっている。維新の政策を「さらなる格差の拡大や行政機能の低下などを惹起しかねない」(2022年参院選総括)と批判してきた。
多少荒っぽくなってしまうが、維新が「小さな政府」に近い考え方であるのに対し、立憲は「大きな政府」寄りの社会像を持っていると言えるだろう。
もちろん、政策の違いを埋める努力をしなかったわけではない。ことしの通常国会からは共闘するテーマを限定せず、重要政策についても意見交換を重ねていくことで合意した。
立憲が批判してきた「身を切る改革」をテーマにしたプロジェクトチームも両党で立ち上がった。旧公務員宿舎は、政府が使用をやめてから10年以上放置してしまっている休眠財産として問題になっていたが、これを合同で視察、国会の予算委員会で立憲の渡辺創衆院議員が「未利用の国有地は売却や貸し出しで資産化するべきではないか」と提言するなどした。
「サル発言」を受けた維新は…
このように、通常国会前半まで関係を深めていった立憲と維新だが、立憲の小西洋之参院議員が衆院の憲法審査会について「毎週開催はサルがやること」などと発言したことを期に、改憲議論に前向きな維新が共闘を「凍結する」として暗雲が立ち込める。
ことし4月に行われた統一地方選では、維新が地方議員の議席数を約400から774まで伸ばすという大躍進となった。これを受け、馬場伸幸代表は次期衆院選で「289ある全選挙区に候補者を立てる」と宣言した。
勢いをつける維新に対抗する形で、立憲でも若手・中堅から泉代表に「競合も辞さず戦う覚悟と決意を鮮明に示すべきであり、最低でも200以上の選挙区で与党に対抗できる強力な候補者を擁立すべき」と提言がなされ、両党の候補者擁立合戦が始まった。こうして共闘関係は終焉を迎えた。