中学受験に成功しても、結局評価されるのは最終学歴

もう一つ、無闇にお金をかけずにポイントを絞ることも大事です。今は中学受験が盛んで、あたかもその流れに乗れないと子どもが落ちこぼれてしまうかのような雰囲気さえあります。しかし、世の中で大切なのは「最終学歴」のみです。つまりは、いい大学さえ出ていればいいのです。

日本の中学生が教室で勉強している
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小学生の頃からたくさんの塾に通って中学受験をして、高校も大学もそのままエスカレータで私立に通ったならば、相当なお金がかかります。ところが、就職などでものを言う最終学歴は、あくまでその私立大学卒です。

一方、あまりレベルの高くない公立で中高を過ごしたとしても、大学で国立など有名校に入れば学歴的には立派な勝ち組です。だから、大学受験にだけ集中してお金をかければ大丈夫。途中の教育費を心配して共働きをするくらいなら、5年間は割り切ってどちらかが子どもに関わり、基礎となる非認知能力を育ててあげましょう。

さらにマクロな視点では、男女問わずに育休が取れるシステムをつくらねばなりません。2021年度の調査では、全国の育休取得率は女性は85.1%であるのに対し男性は13.97%に留まっています。しかも、東京都の担当者によれば、このデータには「退職せざるを得なかった人は含まれていない」とのこと。実際には、気持ちよく育休を取れている人たちは、この数字よりさらに少ないはずです。

男性も含めて育休は義務化すべき

こうした状況にあって、いくら「男性ももっと育休を取りなさい」と言っても解決にはつながりません。職場に「男が育休を取るなんて」という空気がある限り、自主的な動きに期待してもなにも変わりません。

東京都は、「仕事を休む」という後ろめたいイメージを変えるために、「育休」に変わる名称を募集し、「育業」に決定したことを発表しました。それに対する僕の案を披露すると、「労働自粛期間」。日本人は「自粛すべき」という圧力に弱いですから、この言葉を用いれば会社に出てきにくいのではないかと考えました。名称はなんでもいいのですが、ポイントは義務化。父親も含め、育休取得を義務にしてしまうことです。

以前、ある中小企業の経営者がSNSで「寿退社や産休や育休をされると困るので、若い女性は正社員として雇用しません」と発信し、物議をかもしたことがありました。こうした発言から「若い女性は雇用しづらい」という空気が醸成されてしまうので、実際に雇用しないのは自由だとしても、公言すべきではないと僕は思います。

ただ、国の制度が十分ではない以上、ついこうしたことを言いたくなってしまう気持ちはわかります。実際に、スウェーデンでは育休の義務化をしました。すると、「自分は仕事があるのでできない」という言い訳は通用しなくなり、父親もおむつを換えたり、お風呂にいれたり、ミルクを与えるようになったそうです。フランスもこれを真似た制度を導入する予定ですし、日本もすぐに取り組むべきだと思っています。