おごり方、おごられ方

ちょっと話がそれた気がしますが、お金という魔物の油断ならなさと、「専門家にタダでものを頼むこと」への積年の怒りを感じ取ってもらえたら幸いです。

お金がらみの失礼といえば、身近なのは「おごる、おごられる」の問題。よかれと思って食事やお酒をおごっても、感謝されるどころか「なんだこの人」とガッカリされたり、おごられたときの反応で「大丈夫かなこいつ」と心配されたりといったケースは、とてもよくあります。

当研究所が集めた実例から、まずは「おごる側」がうっかりやりがちな失礼をあげてみましょう。

〈第三者に「あいつ、おごってやったのにお礼もロクに言わない」など、反応への不満を漏らす〉
→失礼というか、器の小ささを露呈するみっともない態度。おごって「いい気持ち」になった時点で、ギブアンドテイクは完結しています。


〈店を出たあとで「意外に高かったな」と金額に文句を言う〉
→おごられたほうは、念入りに恐縮したり感謝したりしなければならなくなります。
〈「これだけおごったんだから、わかってるよね」と見返りを求める〉
→下心系の場合も接待系の場合も、それを言っちゃあおしまい。せっかくの出費が逆効果になります。

スマートで恩着せがましくないおごり方をマスターするのは、大人のたしなみであり目標。そして、いつか言ってみたいのが、

「俺も上司や先輩にさんざんおごってもらったからな。お前もいつか部下や後輩におごってやってくれ」

というセリフ。「恩送り」の考え方ですね。ただ、まずはおごらないと言えないのがネックです。

20万円ほどの紙幣をこちらに見せている男性の手元
写真=iStock.com/GF days
※写真はイメージです

おごり方以上に難しいのが、おごられ方。続いて「おごられる側」がやりがちな失礼をあげてみます。

〈おごられる前提ではあるけど、おごられるのが当然という顔をする〉
→会計のときに、いちおう財布を出す素振りや、「い、いいんですか?」といったひと言は必須です。


〈目上の相手がおごってくれようとしているのに、『いえいえ、割り勘で』と頑なに拒否する〉
→よっぽど「こいつにおごられたら絶対ひどい目に遭う」という状況じゃない限り、「ま、いい気持ちにさせてやるか」ぐらいのつもりで、ありがたくおごられましょう。
〈おごってもらっておいて、料理の味や店の雰囲気に文句を言う〉
→論外です。料理や店は無理してでもホメましょう。おごってくれた側から「マズかったね」と水を向けられても、同意してはいけません。

店を出たあとの「ごちそうさまでした」だけでなく、相手が上司や先輩なら翌日会社であらためてお礼を言うなど、おごられる側が守るべき当然のお作法は多々あります。

「そんな面倒な思いをするなら、おごってもらわなくていい」と言いたくなるかもしれません。しかし、それは浅はか。ご承知の方はご承知のとおり、面倒を乗り越えたところに、コミュニケーションの楽しさや人間関係の醍醐味があります。そして「当然のお作法」の多くは、自分の株を簡単に上げてくれる便利な手段でもあります。