※本稿は、大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
50代からは節約なんかする必要はない
収入のコントロールは難しいが、支出のコントロールは比較的容易にできます。本稿では、具体的な支出のコントロールの方法についてお話をしたいと思います。
支出のコントロールという話になるといつも出てくるのが「節約」とか「倹約」という話です。でも私は、ある程度の年齢、具体的に言えば50代ぐらいからは、節約なんかする必要はないと思っています。それよりももっと適切に支出のコントロールができる方法があるのです。その具体的な考え方について見ていきます。
なぜ世の中には「節約指南本」があふれかえっているのか
節約というのはいつの時代も、家計の見直しという話題になると必ず取り上げられます。また、雑誌などを見ても「節約術」というのは一定の周期で特集として取り上げられるようですし、書店にも多くの「節約指南本」が並べられていることからも、節約が多くの人に関心を持たれていることがわかります。これは一体どうしてなのでしょう。
最大の理由は、恐らく世の中で働く人の9割がサラリーマンだからでしょう。すなわち一定の給料で生活している人たちがほとんどだからです。
一般的に自営業やフリーランスの人に比べてサラリーマンの収入は安定しているものの、逆に言うと、自分で給料を増やすことができません。給料を決めるのは上司や人事部ですから、頑張れば昇給の可能性はあるものの、自分でコントロールできるものではないからです。
収入を増やすことができないのであれば、支出を減らすのは当然のなりゆきです。そこで、どうやって無駄をなくすか、あるいはどうやって節約するかという話になってくるのです。
ところが、後ほど詳しくお話ししますが、節約するのと無駄をなくすのとは全く意味が違います。そのあたりが深く考えられないままに、節約することだけが取り上げられているのは、正直言ってあまりいい傾向ではないと思っています。なぜなら、世の中で一般的に取り上げられている節約というのは実はあまり意味がないものが多いからです。