経済が成長すれば税収は勝手に増える

【森永】基本的に、経済が成長すれば、税率が一定であっても、税収は勝手に増えてしまうわけですよね。

日本政府が、経済成長による税収増を考えず、増税によって税収を増やすことばかり考えるのは、この「単年度」の考え方があるから、ということですね。

【会田】そういうことですね。

円マークが描かれた木製ブロック
写真=iStock.com/fatido
経済が成長すれば税収は勝手に増える(※写真はイメージです)

3つ目の「謎ルール」が、「生のプライマリーバランスの黒字化」目標を掲げていることです。「生の」というのは、景気を考慮しないという意味です。

グローバルのルールでは、プライマリーバランスの黒字化目標があったとしても、景気を考慮した構造的なプライマリーバランスの黒字化を目指すのが普通です。

「景気を考慮しないプライマリーバランス黒字化」実は非常識

【会田】つまり、景気が悪い時にプライマリーバランスが赤字になるのは当たり前なので、これは仕方がない。しかし景気がとても良い時にもプライマリーバランスが赤字なのであれば、構造的に財政が赤字体質だということなので、増税や歳出削減をしなければいけませんね、ということです。

一方、日本では景気を考慮せず、景気が悪くてもとにかく25年度までに黒字化を目指すという目標を持っていますが、日本にしかない「謎ルール」です。

【森永】なぜ、こんな考え方になってしまうんでしょうか。

【会田】財政をマクロで考えるということをあまりしないからでしょう。

財務省は会計、つまりミクロ経済の官庁ですから、財政収支だけを黒字にしようとする。