どこかへ遠出は充電と同時にエネルギーを消費する

このような明け方起床の効果は、私だけにあてはまるわけではない。早起きは、精神衛生上、ポジティブに作用することが実際にわかっている。

70万人の遺伝子を分析したある研究によれば、朝型人間の遺伝子を持つ人は、そうでない人よりうつ病になる危険性が低く、主観的に幸福を強く感じられるという。

人間の生態リズムは24時間より若干長いが、光を感知する網膜細胞が毎朝24時間に合わせこれを初期化し、日々にうまく適応できるように助けてくれるからだ。

人々は休息といえば決まって朝寝坊するか、どこかへ遠出しないと、と考えがちだ。

だが、私にとっては明け方起床が休息のひとときだ。早起きして人生を楽しみはじめてからは、日常にささやかな余裕が持てるようになった。もちろん、旅行に出かけて充電することもできる。

でも旅行に行けば、どのホテルがリーズナブルか、どこを観光しようか、どこで食事しようかを考えるためにエネルギーを消費して、ゆっくり休むというより、何かに追われる気がするのも事実だ。

若い女性が湖の近くに座って、日没の間に自然の中で熱い飲み物を飲んで楽しんでいます。
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

休息の質を左右するのは頭と心が何を感じているか

反面、通勤バスでまどろんだり、同僚たちとのランチの後にコーヒーを一杯飲みながら一息ついたりする程度の平凡なことでも心は豊かになる。会社の帰り、夕飯に舌鼓を打ち、温かいシャワーを浴びた後、ぬくぬくと布団にくるまりながら、今日一日を振り返ることでも。

週末に公園のベンチに座って人間ウォッチングをしたり、新たに挑戦してみたいと思えるものがないかインターネットであれこれ検索しながら、ささやかな楽しみを味わったりすることでも。

要は何をするかではなく、頭と心が何を感じているのかで休息の質は左右される。朝早起きすることで本当の余裕を知ると、複雑に絡まった心をしばし忘れられる時間を、日常でも簡単に見つけられるはずだ。

頭の中を空っぽにして、心を静めることほど真の休息はない。私はこの真理を、明け方に最も強く感じる。誰にでもエネルギーを効率的に充電する、自分だけの方法がきっとある。明け方起床の時間に自分を解き放ってくれるものは何か、今一度考えてみよう。