スマホを3時間以上使うと勉強を頑張っても平均以下に
特に衝撃を受けたのは、インターネットを「ほぼ毎日使用する」と回答した子どもたちの脳の発達は、ほとんどゼロに近い数値となっていたことです。つまり、インターネットを毎日使っている子どもたちは、3年間で脳が全く発達していなかったのです。
例えば、中学校へ進学するときにスマホを買ってもらった子どもがいるとしましょう。もしこの子が、毎日スマホでインターネットを使用する生活を3年間続けてしまったら、恐ろしい未来が待っているかもしれません。
この子は約3年後、高校受験を迎えることになります。周りの子どもたちが健全に発達を遂げていく中、この子の脳は小学校6年生の時点で発達が止まっています。つまり、中学校3年生の中に、ひとりだけ小学校6年生が紛れ込んで試験を受けているような状態になってしまうのです。勝ち目があるわけありませんよね。
【図表1】のグラフを見てみてください。スマホ等を1日3時間以上使っている子どもたちは、どれだけ勉強を頑張っても、きちんと睡眠をとっていたとしても、成績が平均以上に届いていませんでした。脳の発達が止まってしまっているわけですから、スマホを使った分だけたくさん勉強をすれば、悪影響を補って帳消しにできる、とはいかないのです。
肺の写真でタバコの害に気づくように脳の写真を見て
私が通っていた中学校は、いわゆる荒れた学校でした。しばしば校内でタバコの吸いがらが見つかっては、問題になっていました。あるとき、生活指導の一環でタバコが健康に与える悪影響を説明する集会が開かれました。集会では、タバコによって真っ黒に染まっていて萎縮した肺の写真を見せられました。幼き日の私は、その写真を見て背筋が凍るような恐怖を覚えました。その瞬間に「タバコは身体に悪いんだ」と、私の脳に強烈に刻まれたのです。結果として、私は今日まで1本もタバコを吸ったことはありません。
肺も脳も、鏡に映して自分で見ることはできません。タバコで肺が真っ黒に染まるように、知らず知らずのうちに、スマホで脳の発達が止まっていたら恐ろしいことだと思いませんか? そのため、私が子どもたちを相手に講演をするときには、必ず【写真1】を見せるようにしています。幼き日の私が真っ黒な肺の写真を見たときと同じように、「スマホは脳に悪いんだ」と子どもたちの脳に刻まれてくれることを願っているのです。