「シェア買い」で急成長した中国ベンチャーがある

このカウシェが、大きな飛躍の可能性を秘めた「変革者」として注目される背景には、中国のベンチャー企業、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の存在が大きい。拼多多は、2015年に上海で創業された中国ベンチャーで、「シェア買い」によって急成長を遂げ、アリババ・京東に次ぐ「中国ECトップ3」にまで昇りつめた先駆者だ。

拼多多は、商品を一緒に買いたいと思う仲間を集められるかどうか、という「シェア買い」のゲーム性と圧倒的な安さによってファンを増やし、数年で「シェア買い」を中国の新習慣に定着させた。消費者の買い方に革新的なインパクトをもたらし、企業としても爆発的な飛躍を遂げて、創業からわずか6年後の2021年には、ユーザー数8億人を突破、売上は約1兆8000億円、流通取引総額(GMV)は約45兆円という桁違いの成功を収めている。だから、「日本版・拼多多」のカウシェにも注目が集まるのだ。

右肩上がりの矢印の先端を走る人
写真=iStock.com/erhui1979
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「まず安全」を消費者に伝えられるか

いまや中国は、「世界最先端の買い方」の発信源として注目を集める場になっている。中国でいち早く浸透していた「モバイルオーダー」や「デリバリー」、「D2C」は数年遅れで日本でも普及を広げている。一方、中国で大流行した「ライブ販売」は、日本では伸び悩みを見せている。共同購買やソーシャルECとも呼ばれ、中国で爆発的なヒットの「シェア買い」が、今後、日本でも中国同様の盛り上がりを実現できれば、メルカリを超えるインパクトが生まれるだろう。

その実現には、「シェア買いは怪しいサービスじゃない」と、ユーザーが「まず安全」と確信できるだけの、高い信頼性を確立することが極めて重要になる。日本の消費者は、斬新な商品・サービスであればあるほど、「まず安全、つぎに便利、そしてお得」の順で優先順位を付けやすいからだ。どんなに面白くても、お得でも、「まず安全」がないと日本での普及は難しくなる。広告におけるタレント起用やキャンペーンにおけるインフルエンサー活用などを通じて認知度をさらに向上し、お得な「シェア買い商品」の拡充によって顧客満足度とクチコミ拡散を高めて、「みんなが知っていて、安心して利用できる」という「市民権」を獲得することができれば、「シェア買い」の普及は加速していくだろう。

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