「謙譲語II」は丁重さの方向性が違う

一方、「謙譲語II」は、「自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの」で、「明日から海外へ参ります」「きょうは家におります」の「参る」「おる」などがこれに当たります。「行く」「いる」の代わりに改まった言い方「参る」「おる」を使うことで、丁重さを示しています。「謙譲語I」が行為の向かう先を立てる言い方なのに対して、「謙譲語II」は丁重さを示す敬語であることが大きな違いです。

また、前出の「きょうは家におります」の「おります」は、自分の行為を表していますが、「謙譲語II」は自分の行為でなく「立てなくても失礼にあたらない第三者や事物」について使う場合もあります。「子どもが大勢帰って参りました」「バスが参ります」のような場合です。ご質問の「暑い日が続いております」もこれに当たります。

いずれも聞き手(文章であれば、それを読んでいる人)に対して丁重に言いたいときに使われます。ただ、天気予報やニュースなど、客観的に伝えるのがふさわしい場面では、敬語を使わず「~ています」とするほうがすっきりします。番組・ニュースの内容や目的によって、使い分けることも考えられます。(滝島雅子)

「ご利用できます」は敬語の誤用

【ご利用できます】
Q.「ご利用できます」「ご参加できます」「ご乗車できません」は誤用でしょうか?
A.「ご(お)~できる」は、謙譲語「ご(お)~する」の可能を表す言い方ですが、ご質問にある言い方は尊敬語として使われているようです。このように、「ご(お)~できる」を尊敬語として使うのは、誤用とされています。尊敬語にするなら、「ご(お)~になる」の可能表現である「ご(お)~になれる」を使うのが正しい用法です。

「ご(お)~できる」を尊敬語として使うのは、一般的には誤用とされていますが、日常の場面では、以下のような言い方をよく耳にするのではないでしょうか。

「今なら、すぐにご利用できます」「ご乗車できませんので、ご注意ください」「こちらのメニューは、お持ち帰りできます」「どなたでもお気軽にご参加できます」「今なら、安値でお求めできます」

こうした言い方は、世の中で使われているうちに、耳慣れてしまっているかもしれません。