稼ぐ人は、常に「報酬を上回るパフォーマンス」を目指す

売上も利益も低い企業は、そもそも社員に高い報酬を払えないのです。そうなると、とりわけ成績のあがらない社員は、安月給に甘んじるほかないのですが、彼らには彼らの事情があります。たとえば、

「住宅ローンが残っているし、子どもの教育費もかかるから、せめてあと2、3万、できれば4、5万、“上乗せ”がないと家計が苦しい」

というケースです。

だから働きの悪い社員は、残業代に安月給の救済を求め、会社の利益をますます小さくする元凶になってしまうわけです。

その悪循環は、「残業禁止。副業奨励」という策を講じない限り、歯止めがかかりません。業績低迷に悩む会社は、そう考えて副業を認めるようになった、というのが“裏事情”です。

統計には出てきませんが、日ごろ多くの企業経営者と交流している私の感覚では、報酬に見合わない社員の割合は、大企業だと少なく見積もって3割、零細企業なら7、8割にのぼるでしょうか。

なかには「残業をするな」どころか、

「目いっぱい有休を使っていいから、できるだけ会社に来ないでくれ。仕事をしてもヘマばかりで、まわりは尻拭いが大変だ。いないほうがマシだ」
「あわよくば副業をはじめてくれないかな。それがちょっとうまくいったら調子に乗って辞表を出してくれるかもしれない」

なんて思われている人さえいます。

「うちの会社は副業OKなんだよ。太っ腹だろ?」

などといっている場合ではありません。

稼げる副業を探すことより、自分が会社から「報酬に見合わない働きしかしない社員」だと思われていないかどうかを、冷静に自己評価しなくてはいけません。そのうえで、「報酬を上回る働きをする」ことを目指す。

それが、「それでも稼ぐ人」の考え方なのです。

まずは本業で1000万円プレイヤーを目指す

なぜ私は副業をすすめないのか。

その理由は、ただ体力を消耗し、時間を無駄遣いするだけの労働で、将来のためのなんの蓄積にもならないからです。

副業の平均月収がどのくらいか、知っていますか?

パーソル総合研究所というシンクタンクが実施した調査によると、もっとも多い層は、「5~9万円台」で、次いで多いのが「1万円台」です。

この程度の稼ぎでいいのか、という話です。

普通に残業をするのと、あまり差がないと思いませんか?

というより、「効率よく稼ぐ」という意味では、副業をするよりまだ残業して稼いだほうがいい。「中途半端な副業」でしかないのなら、しないほうがマシです。

ただし私は、「定時のあとも会社に残っていさえすれば、ボーッとしていたって残業代がつくことを当て込め」といいたいのではありません。

本業にまじめに取り組み、現状の年収をもらっているその仕事で、まずは1000万円プレイヤーになることを目指しなさい、といいたいのです。

画面いっぱいの一万円札
写真=iStock.com/Sergio Yoneda
※写真はイメージです

無理だと思いますか?

そんなことはありません。副業でチマチマと稼ぐエネルギーを、すべて本業に注ぎ込めばいい。副業で500万円稼ごうとするより、よっぽど現実的な目標だと思います。

副業はしょせん「こづかい稼ぎ」でしかないと心得てください。