知事選も道府県議選も投票率は過去最低
第20回統一地方選挙の前半戦である、9道府県と6政令指定都市の首長、それから41都道府県議会、17政令市議会の投票が4月9日に行われた。
知事と市長については、なんと前代未聞の、15選挙すべてが「ゼロ打ち」、つまりNHKが投票締め切りと同時に、開票率ゼロパーセントで「当確」を出すという一方的な選挙となった。
〈都道府県のトップは実は「よそもの」が多い…知事47人中27人が「東大出身のエリート」である本当の理由〉(2023年4月4日)で指摘したように、現職が圧倒的に有利なので多選が多く、また、東京大学出身者、それも官僚が半数以上であるのも偏りすぎだ。
知事選は、保守分裂となった奈良・徳島と、新人2人の一騎打ちとなった大分では前回よりも投票率が上がったものの、9道府県全体では46.78%で過去最低を更新。41道府県議選も41.85%と、過去最低だった前回の44.02%からさらに落ち込んだ。
最近では、地方議会では、なり手不足が深刻な問題になっている。こうした問題をどうしたら解決できるかというのが、本稿の主題だが、まずは、今回の知事選挙の結果についてみてみよう。
神奈川はスキャンダルでも再選、大阪は維新圧勝
神奈川、福井、鳥取、島根の知事選は、現職に対する有力候補がおらず、いわゆる無風選挙だった。神奈川は選挙戦の最中に黒岩祐治知事の過去のスキャンダルが出たが、相手が共産党と政治家女子48党がそれぞれ推薦する候補などしかいないので、しらけた。無効投票率が2.9%から6.9%に上がったのが少し目立った結果だ。
北海道知事選は、野党統一候補として池田真紀元代議士(比例復活もできず落選中)が出馬したが、人気のある現職の鈴木直道が得票率トリプルスコアで圧勝。
大阪知事選では人気の吉村洋文知事(大阪維新の会)に対して、自民・立民が実質支援する谷口真由美、共産党推薦の辰巳孝太郎らが出馬したが、得票率は吉村が73.7%に対し、谷口は13.2%、辰巳に至っては8%で法定得票数にも達しなかった。
大阪市長選のほうが、横山英幸(大阪維新維新の会、元府議)と北野妙子(無所属、元市議)の新人同士の一騎打ちで、非維新にチャンスありとみられたが、府知事選での反政府色の強い谷口の擁立はかえって北野の足を引っ張った印象で、得票率は64.6%対26.4%と横山の圧勝。維新念願の市議会での単独過半数確保を助けただけだった。