超人気「広尾系」はもはや渋ズのすべり止めではない

海外大進学希望者への訴求力は日本一との呼び声も高い。東京大をはじめとする難関国立大学への進学者実績も着実に積み重ねていて、広尾の偏差値は右肩上がりだ。合わせて広尾小石川の人気も上がる一方(偏(2/1午後女子ISGの四谷大塚Aライン80偏差値:2021年開校初年度53→2023年度60)で、「広尾系」はもはや渋谷系のすべり止めとは言えないポジションを獲得した感がある。広尾系の英語は選択問題が一切出ず、記述問題のみ。さらに渋谷系同様、エッセイと面接を重視しており、こちらも英検1級の英語力だけでは簡単に合格できない内容となっている。

「今年度の広尾は、渋ズ・渋谷系の合格圏にいたトップ層しか受かっていない。逆に言うと、広尾を第一志望にしていた層の受験生では歯が立たなかったのではないか」(塾関係者)

渋谷系、広尾系とも、現在のところ、高い英語力さえあれば帰国生に限らず国内インター生にも受験の門戸を開いているため、国内外の英語優秀者がこれら4校に集中することになる。そして、一般受験と大きく異なるのが、御三家の入試日程が2月1日に限定されているのに対して、帰国受験では最難関校を全て受験可能な入試スケジュールが組まれていることだ。結果として、全帰国受験生の上位5%以内に入るような最上位層が、4校全ての合格をかっさらっていく図式だ。

芝国際の炎上の一因は年末の帰国生入試

ところで、帰国生入試を含む2023年度の中学入試で台風の目となったのは、芝国際(旧東京女子学園:港区芝)だった。渋渋と広尾が先鞭せんべんをつけた近年の「国際+共学化」新興校人気に続けと、2023年4月に開校した同校だが、初年度入試で大混乱を招いてしまった。

一般受験の定員120人に対して延べ4681人が殺到し、SNS上で「芝国際難民」などのハッシュタグが乱立した2月の一般入試の大炎上の一因は、11月、12月に行われた帰国生入試にあると筆者は考えている。

帰国生を対象にした説明会で学校側は「初年度はほぼ全入と考えていただいて構わない」といった趣旨の発言で、帰国受験の中〜下位層に猛アピールしていたという情報がある。さらに、充実した特待制度を用意して、渋谷系、広尾系を本命と考えているような上位層にもアピールした結果、受験生全体のレベルが想定以上に上がってしまったと考えられる。

結果、帰国生入試は全入どころか、「アドバンストコース」の合格者は受験者の半数以下という予想外の展開になってしまった。一方で、成績上位者には特待合格を乱発もしている。こうして、年内の帰国生入試で学校側の想定以上のレベルの合格者を確保できたことが、2月の一般入試の合格者数抑制につながったと見られる。