「地方の国公立VS都会の私立」はどう考えればいいか

ということで、地方の国公立VS都会の私立。みなさん自身が悩む問題だと思いますし、地方に住んでいる人は「地元の国公立大学に行け!」と親や先生からすごく言われることでも悩むのだと思います。

鳥取県だったら鳥取大学。岩手県だったら岩手大学みたいな、それが一番いいじゃないかと言われる。そして、多くの人はそれに従って目指すと思います。しかし、もしあなたが「本当は都会の私立に行きたいんだけど」という人だったら、どうしたらいいんでしょうか。これに対する答えは、文系と理系でちょっと変わってきます。

文系の場合は、いろんな企業があったりユニークな経験ができたり、チャンスが広がるということを考えると、私個人としては、都会の私立大学もすすめます。やっぱり情報と人の量が違いますからね。なので都会に行きたい文系の方はぜひ行ってください。

では、理系の人はどうなのでしょう。理系の人には地方国公立も推したいと思います。東京や関西の有名私立、入っちゃいけないとは言わないですよ。でも、就職に関して言えば、理工系は地方の大学でも都会の大学でもそこまで変わらないんですよね。

これが文系の場合であれば、各県、地元の良い会社に入ったり地方公務員や教員になったりということが多いんですよ。文系は地方大学にいればそのまま地方で就職し、都会の大学を出た人が都会で就職するという流れなんですね。もちろんたまに突然変異で、地方大学から東京の良い会社に入るという人間がいない訳じゃありませんが。

立地の悪さと就職実績はあまり関係ない

でも理系、特に工学部とか農学部の場合は、地方のどんなに不便なところにある大学でも就職先はちゃんと東京、都会です。たとえば北見工業大学とか室蘭むろらん工業大学とか、公立はこだて未来大学、あとは福島県の会津大学とか、正直言って交通の便の悪い地方都市にあるのですが、就職データをホームページで見てください。必ず東京の有名な大企業に入れているのです。理工系に関して言えば、地方にいるからダメなんてことは一切ありません。

九州工業大学正門
九州工業大学正門。(写真=Ian Ruxton/CC-BY-SA-3.0-migrated/CC-BY-2.5/Wikimedia Commons

たとえば九州工業大学が顕著な例です。国立の名門です。北九州にあるんですけれども、1人の学生が就職活動で受ける会社はたったの1.7社ですからね。文系なんて100社くらい受けているのに。理工系の高度な専門性があって、学力の高い国公立大学に入っている人は、就職活動では都会の有名な私立大学に比べてまったく不利ではありません。理工系に関して言えば、全国へどうぞ散ってください。

どうしても難関大や地元ばかりに関心が偏りがちですが、国公立大学は大学入学共通テストの結果によって、自分は全国のどの大学に受かるレベルなのかがわかります。そのため、憧れていた大学が難しい場合、いきなり私立だけにしようなどと決めないで、様々な国公立大を知っておくことが、本当に自分に合った良い大学との出会いにつながります。