体内時計の乱れはダイレクトに睡眠に響く

睡眠になんらかの不調をきたす「睡眠障害」になると、ベッドに入ってもなかなか寝付けない(入眠障害)、夜中に途中で何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)、早く目が覚めてそれ以降眠れない(早期覚醒)、ぐっすり眠れたという実感が得られない(熟眠障害)などの症状が起こります。

日中にだるい、眠くなる、意欲がわかない、集中力が低下する、食欲がわかないなどの不調も伴います。

睡眠障害は、精神的なストレスや、痛み、うつ病、薬の作用など、さまざまな原因で発症しますが、体内時計の乱れが原因で起こるものもあります。

疲れ果ててソファーでうつ伏せになっている女性
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体内時計が乱れると、メラトニンというホルモンの分泌が乱れます。メラトニンは、主時計である視交叉上核が指令を出すことで、脳の松果体から分泌されます。夜、メラトニンが増えると眠くなり、朝、メラトニンが減っていくと目覚めます。その睡眠・覚醒リズムをつくっているのが、主時計なのです。

メラトニンは、高齢になると分泌量が減ることがわかっています。加齢とともに早起きになったり、夜中に目が覚めて何度もトイレに行くことが多くなるのも、メラトニンが減っているのがひとつの原因と考えられています。

若い人では、メラトニンの量は十分にありますが、夜、強い光を浴びたりすると主時計が後ろへずれてしまい、メラトニンが分泌されるタイミングも後ろへずれてしまいます。

そのため、夜になっても眠くならないかわりに、翌日の午前中に眠気が襲い、学業や仕事に支障を来すというわけです。

体内時計が関係している5つの睡眠障害

体内時計と関連した「睡眠障害」では、「眠りたい時間に眠れない」「起きていたい時間に眠くなる」といった症状が現れてきます。睡眠のリズムが乱れて一日のリズムも乱れることから「概日リズム睡眠・覚醒障害」といわれています。

以降で説明する5つの睡眠障害のうち、①と②のように生活習慣や社会環境が原因で起こる睡眠障害もあれば、③のように遺伝子がかかわっているもの、④と⑤のように病気や習慣などが複合的に絡み合っているものがあります。