意見交換できる機会も必要

証券会社の担当者が未公開企業の上場などの支援をする場合、少なくとも4〜5年は継続して担当しなければ、十分な支援はできない。当時、MOF担だった筆者は、その旨を大蔵省に説明して通達を撤回してもらった。

それ以前は、大蔵省がそのような指導を突然発出することはなかった。

あらかじめ証券会社のMOF担などの意見を聞いて、検討してからだった。多忙をきわめる大蔵官僚にとっては、軽い食事をしながら、気軽に意見交換できる機会というものが必要なのではないか。そう思っていた金融・証券関係者も多かったはずだ。

飲み代を支払わされただけだった

一方で、確かに過剰接待はあった。あるMOF担の話だ。

「夜9時頃、ある大蔵官僚から電話があって『相談したいことがあるので、銀座の某ナイトクラブに来てほしい』と言われてね。指定された場所に行くと、そこには3人の大蔵官僚がいて、さんざん飲んで盛り上がっている。もちろん“相談したいこと”などなく、飲み代を支払わされただけだった」

ウイスキー
写真=iStock.com/Alexander_Volkov
飲み代を支払わされただけだった(※写真はイメージです)

このような過剰接待が横行していたことは、確かに問題だ。ただ、就任挨拶の食事会とか、食事をしながらの業界との意見交換などは、認められてもよいのではなかろうか。

1999(平成11)年になると国家公務員倫理法が制定され、2000年4月から施行された。これに基づき、国家公務員倫理規程が制定され、利害関係者との飲食は事前届け制になり、承認されない限り禁止されることになった。