キーパーソンを見極めて、最優先で根回しする
仕事の速い人は、「実質の決定権」を持つキーパーソンを見極めて根回しします。ある商品企画を進めるさいに、社内で決裁が必要な人が人いたとします。この人のうち、社長でも企画部でもなく、営業部でもなく、製造部に実質の決定権があったとします。この場合、その製造部の責任者を最優先に相談するのが近道です。
「懸念事項・反対意見はありますか?」と聞いてアドバイスをもらい資料に盛り込んでおけば、ほかの決裁者も「製造部がOKなら、やってみよう」と判断するでしょう。逆に、製造部の責任者に通さずに進めていると、他部署に「製造部と話をつめるように」と言われ、さらに時間がかかるかもしれません。
実質の決定権を持つ人が、話しやすい相手とはかぎらず、厳しいことを指摘してくる「話しづらい相手」である場合もあります。この場合も、「決裁を得る」というゴールから考えれば、キーパーソンから最優先に話を通すのが最速ルートです。
これによって、その商品企画の味方となって応援してくれることも少なくありません。根回しは、ネガティブなものではありません。根回しとは事前相談のことであり、スピーディに成果を生み出すうえでは、必要なものなのです。ただし、「実質の決定者」を重視するあまり、ほかの人を軽視するような失礼は避けましょう。
たたき台をつくったうえで、関係者に話して巻き込んでいく
アイディアを企画や計画に落とし込むためには、たたき台をつくったうえで、自分以外の人に話して巻き込んでいくのが早道です。ここ最近、製造業の経営者からの「画期的な事業プランや製品企画をしたいのです。そのために、うちの社員がこれまでの延長線上にない発想ができるようにしてほしいのです」という社員研修のオーダーが増えています。
このような研修の最後には受講者のみなさんから社長に、自分たちが考えた事業計画のプレゼンをしてもらいます。プレゼン後に社長から「それおもしろいけど、本当にできるのか?」と問われたAさんは、「実現可能性については、これから検討します」と答えました。Bさんは「はい、できます。製造部のCさんに事前に相談したところ、材料の調達も生産での負荷も問題ありません」と理由を添えて答えました。
社長はBさんの案を採用したのです。Aさんは、思いつきをプランに入れただけなのに対し、Bさんは、事前に製造部のCさんも巻き込んでアイディアを企画レベルまでしっかり磨き込んでいました。両者の違いは、「なにを目的としているか」に尽きます。
Bさんは目の前の「研修のプレゼン」ではなく、「実現して成果を出すこと」を目的にしているので、そこに辿り着くまでに確認しなければならないことに気づいて動けたのです。こうなると、すばやく着手でき、進捗のスピードもあがります。