ボランティアグループで仕事以外の知り合いができた
夕張ではボランティア活動が盛んです。
市役所の仕事に少し慣れてきた頃、休日に雪かきのボランティアに参加したことをきっかけに、私はあちこちのボランティアグループに顔を出すようになりました。
雪かきボランティアで知り合った松宮文恵さんは、年に何回か市民会館を借りて映画を上映する「ゆうばりキネマ・クラブ」に所属しており、「会員になって」と声をかけられて入会すると、次の会合では、なぜか全会一致で運営委員に選ばれていました。
「NPO法人ゆうばり観光協会」では、パソコンを使えない高齢のスタッフの代わりにチラシをつくるお手伝いをしました。すると、「鈴木は使い勝手がいい」という噂が地域のキーパーソンの間に広がったのか、別のグループの打ち合わせに呼ばれる。どうやら自分は巻き込まれやすいタイプらしいと気付いたときには、8つほどのグループに入っていました。
いつも弁当を買っているコンビニの店長・本田靖人さんに声をかけられ、「ゆうばり桜まつり」というイベントの準備のために会場となるキャンプ場に行き、手づかみで鹿のフンを拾うボランティアをしたこともあります。もちろん軍手は着けていました。
行政がサービスを提供できず、市民が代わりに担うしかない
たくさんのグループに誘われたおかげで、気付いたら仕事以外にも市内のあちこちに知り合いができていました。仕事から帰ると、玄関先に肉じゃがの入ったビニール袋がぶら下がっていることもありました。ボランティアで知り合ったお母さんがわざわざ届けてくださった差し入れを、おいしくいただきました。
ほかにも夕張には、市道脇や公園、廃校になった学校周辺の草刈りや掃除を定期的に行うグループ、駅近くの公衆トイレを清掃するグループ、市民会館を清掃するグループ等々、たくさんのボランティアグループが活動していました。
それ自体は非常に素晴らしいことです。ただ、ボランティア活動がこれほど盛んなのは、市が財政破綻したことと無関係ではありません。行政が既存のサービスを提供できなくなったため、市民が代わりに担うしかない、という現状が背景にあることを私は知りました。