インディペンデント紙は今年2月、タリバンの拷問を生き延びた男性の証言を、ザーイドという仮名で報じた。拷問施設の過酷な実態を物語っている。

ザーイドさんは狭い監房に入れられ、200日間の収容期間のあいだ、ほぼ毎日パン半分と水だけしか与えられなかったという。居住環境は劣悪であり、幅1.5メートルの狭い監房に、氏を含め8人が押し込まれていた。

同じような監房が20部屋ほど並んでおり、通路の先にはトイレがあるだけだったという。この施設は拷問に特化していたようだ。同じ監房から毎日誰かが引きずり出されては拷問部屋へと連れて行かれ、5~6時間経ってから手足が折れた状態で戻ってきたという。

外側のドアは開けられていて、鉄格子が見える監房
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うめき声、泣き声が絶え間なく響いていた

自身も繰り返し暴行を受けたというザイードさんは、「天井から逆さまに吊るされ、感覚がなくなるまで毎日殴られました」と過酷な200日間を語る。脚に器具を付け、電気ショックを与えられることもあった。

ザーイドさんが住むパンジシール州には、東イランをルーツとする少数民族のタジク人が多く住む。また、民族抵抗戦線と呼ばれるレジスタンスが活発であり、タリバンは長年支配に手を焼いてきた。ザーイドさんはレジスタンスへの関与を疑われた形となった。

「顔に水をかけられては、意識が回復すると再び殴られ、パンジシール州で蜂起している抵抗運動に関与したと認めろ、と迫られました」

不幸にも、拷問を耐え抜くことができない仲間も少なくなかった。「周囲の監房からは、うめき声や泣き声が絶え間なく響いていました。ときおり(人数が減って)、誰かが拷問中に力尽き、その死体は処分されたのだと知りました」

半年以上にわたる拷問の末、ザーイドさんはレジスタンスと無関係だと判断され、解放された。タリバンは釈放の際、多額の裏金を要求したという。賄うために組んだローンを、家族はいまも支払い続けている。政府が国民に「身代金」を要求するという、にわかに信じがたい顚末てんまつだ。

安息もつかの間、再びタリバンの手がザイードさんに迫っているとの情報が1月、氏に寄せられた。憩いのわが家を離れ、ザイードさんは現在、逃亡生活を続けている。

元レジスタンスの男性宅にはロケット弾が撃ち込まれた

タジク人のほか、冒頭でも触れたように、東洋にルーツを持つ少数民族のハザラ人もタリバン政権の攻撃の的となっている。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、繰り返される蛮行の数々を非難している。

同団体は昨年6月にタリバンが実行した、中部ゴール州での一家襲撃事件を報じている。前政権の治安当局に務め、2021年まで地元のレジスタンスを率いていた、ムラディと名乗るハザラ人の男性が標的となった。