節約したいと思うあまり食品を盗んだ
今思うと、お金を使うのがもったいないという気持ちも走ったと思うわ。お父さんもおらんなったし、老後のことを思うと、節約したいという気持ちが働いて。見つかるとか、見つからんとか、そんなことすら考えんで盗った。自分で自分がわからんわね。
今回の3度目の窃盗については、きょうだいが亡くなったことも大きいと思うわ。とてもショックで。いつもうちにきて、食べる物を一緒に買い物して。いつも電話がかかってきて、今行くねとか。仲の良いきょうだいだったので。
子供たちとは一時、関係が悪くなったけど、今は罪を償って戻ってくるのを待つといってくれています。もちろん、これを最後にして下さいといわれていますが。窃盗は病気のせいじゃないかともいってくれて。出たら、協力してくれるといってくれてます。
刑務作業を真面目にやって出所したい
そういうことをいってもらえて、私も本当に、今まで以上にここでの刑務作業に集中しています。今は、洋裁をする工場にいるんですが、洋服の柄にも今まで以上に気を使って製品を仕上げています。
最近、受刑者がつけるバッジの色がピンクになったんです。バッジは全部で5色あって、行いが良いと色が変わります。良い行いをしていると、家族と面会する回数が増えたり、手紙をやり取りできる回数が増えたりします。バッジがピンク色になったのを見て、ああ、一生懸命まじめに生きていれば、それを刑務官の先生方はきちんと見てくれているんだなと思い、それは嬉しく思いました。だから、世の中に出てもコツコツまじめに生きなければと強く反省しました。
今、夜に眠れん日が多くて、体がやせてきて、面会に来るたびにみんなが心配して。食べ物はきちっと残さず食べとるんです。あったかい汁気のあるもんをもっと食べたいとたまに思いますけど。
でも、先生方はりっぱな人ばかりで教えられることが多いもんで、いやなことは別にありません。精神統一して頑張っていくことが大事。社会に出て役に立ちたいと思いながら、毎日を過ごしています。ここで一生懸命、償いながら働かしてもらって、頑張って帰らんならんと思っています。
(2018年11月、岐阜県の笠松刑務所で)