日本は米軍の行動に巻き込まれる

シミュレーションでは中国軍が侵略にあたり司令部を設置するとし、これにアメリカ軍が直ちに対応する状況を描いた。米軍は原子力空母を中核とする空母打撃群およびステルス戦闘機を直ちに出撃させ、台湾周辺に配備する展開が想定された。

これに伴い、軍事基地や民間空港の利用を米軍に認めている日本は、米軍の行動に巻き込まれる展開になるとシミュレーションは想定している。中国は日本の米軍基地に対してミサイル攻撃を実施し、これを受けて日本の首相は国家非常事態を宣言する流れとなる。

国家に存続の危機が生じたと判断されることで、日本はアメリカ軍に対し、沖縄や九州の自衛隊基地や民間空港の使用を許可する展開になるとの想定だ。

さらに日本側は、海上自衛隊の軍艦および航空自衛隊のF-35戦闘機を出撃させ、中国からの攻撃に対抗措置を講じる。シミュレーションでは、米軍と自衛隊が中国軍の補給線を断ち、台湾上空の制空権を握ったあと、中国軍に決定打となる攻撃を仕掛けたことで紛争の終結に至っている。

ソフリプは、大なり小なり日本が巻き添えを食う展開は避けられないとみる。「中国が日本の基地を直接攻撃しない場合であっても、日本の基地は人員を動員し、介入を試みるアメリカに協調することを決断するだろう」と同誌は解説している。

日米の応戦で、紛争は2週間で終結する

シミュレーションの結末について日経アジアは、「結局のところ中国は、日米の応戦に圧倒されるところとなり、紛争は2週間あまりで終結した」と報じている。

紛争の過程で中国は、相当な犠牲を被るようだ。空母2隻を含む156隻の軍艦、および168機の戦闘機、そして48機の軍用輸送機を中国側は失うとされている。兵士の死傷は4万人以上に及ぶ。

一方で台湾は、18隻の軍艦と200機の軍用機を喪失する。また、兵士1万3000人が死傷する計算となっている。日米軍も前述のように、合計1万2500人以上の兵士が死傷し、500機超の戦闘機を失うという結果が示された。

米ソフリプはシミュレーションの結果に触れ、「台湾の主権維持と引き換えに、日米同盟は高い代償を払うおそれがある」と報じている。

日経アジアによると、笹川平和財団・安全保障研究グループの渡部恒雄上席研究員は「まだ可能なうちに、重大な損失に対する可能な限りの備えを実施すべきである」と警鐘を鳴らす。「中国は情報戦、宇宙開発、サイバー戦争や他の側面でも(シミュレーションの前提より)進歩している可能性がある」との指摘だ。

台湾の国防相「中国による初期の攻撃を撃退できる」

軍事ニュースメディアのユーラシアン・タイムズは「中国による台湾の併合を防ぐことに成功する」とのシミュレーション結果を報じたうえで、ソフリプと同様、「(日米)両国は、兵士と装備の面で高い代償を払うことになる」と指摘している。