中国軍は結局のところ「日米の応戦に圧倒される」
台湾有事をめぐる緊張が高まっている。中国の習近平国家主席は台湾統一への意欲を明言しており、武力攻撃の現実味は増している。
仮に有事に発展した場合、台湾は中国の人民解放軍に対抗し、主権を維持することが可能なのだろうか。また、近隣国である日本にどのような影響が及び得るのだろうか。
日本のシンクタンクである笹川平和財団が実施し、日経アジアが報じた戦闘シミュレーションによると、仮に中国が武力行使に及んだ際にも、台湾の主権を奪う試みは失敗に終わるとの予測が示された。米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が1月に示した机上戦闘シミュレーションも、同様の傾向を示した。
ただし、どちらのシミュレーションも、その陰には日米の多大な代償が伴うおそれがあると物語っている。前者では、日米は合わせて500機以上の戦闘機を失うとの試算結果が出た。
その内容は海外のニュースメディアにも報じられるところとなった。米軍事分析サイトのソフリプは、CSISの分析を報じ、中国軍は結局のところ「日米の応戦に圧倒される」と述べている。
一方で同記事は、「言うまでもなく、中国は数十発の中距離および中距離・準中距離弾道ミサイルを保有しており、その気になれば日本を簡単に攻撃することができる」とも述べ、改めて中国の脅威を警告している。
日本は144機の戦闘機を失い、自衛隊員2500人が死傷する
笹川平和財団は1月下旬、4日間を投じ、中国が台湾侵攻を行ったと仮定した机上の戦闘シミュレーションを実施した。元自衛官や日米の学者・研究者など、識者約30名が参加した。シナリオでは2026年、中国が水陸両軍を投じ、台湾に武力攻撃を仕掛けた状況を想定している。
日経アジアは2月下旬、この内容を詳しく報じた。台湾占領という中国の目論見を阻止することは可能であるとの結論だ。同時に、日米は「軍事的な人員と装備に大きな犠牲が伴う」とも報じられている。
財団によるシミュレーションでは、日本は144機の戦闘機を失い、自衛隊の死傷者は2500人に達するとの結果が得られたという。一方でアメリカの被害もこれ以上に甚大で、最大400機の戦闘機を失い、1万人以上の兵士が死傷するおそれがあるとの結果が示された。
シミュレーションでは核兵器の使用は想定していない。また、米が軍事的関与を強めているフィリピンを含め、ASEAN諸国の対応は検証の対象外とした。