中央銀行も「無から」貨幣を創造する

政府の貨幣循環は、基本的には、民間部門の貨幣循環と同じです。

ただし、図表1中の貸出し先の「企業」を「政府」へ、「民間銀行」を「中央銀行」へと読み換える必要があります。

というのも、民間銀行は、政府に対して貸出しを行なうことはできないからです。政府に貸出しを行なうことができるのは、中央銀行だけです。

政府部門を考慮した貨幣循環は、図表2のようになります。

この貨幣循環の過程では、中央銀行は、信用創造によって、「無から」貨幣を生み出します。中央銀行の貸出し(=貨幣の創造)に必要なのは、借り手である政府の資金需要だけです。

すなわち、貨幣循環の出発点は、政府の資金需要だということになります。

政府が債務を返済すると、貨幣は破壊される

政府には、たとえば、公共事業を行ないたいので資金が欲しいという公共需要があります。

その政府の公共需要に対して、中央銀行が貸出しを行なうことで、貨幣が創造され、政府は資金を手に入れます。

そして、政府は公共事業を行なうために支出します。たとえば、橋や道路を建設するために、建設会社に対して公共事業費を支出します。建設会社は、政府から得た資金を用いて、橋や道路を建設する資材を購入したり、原材料を仕入れたり、あるいは従業員に給料を支払います。

こうして、政府が民間部門に対して支出を行なうことで、貨幣は民間部門へと供給されます。そして、貨幣を得た企業やその従業員もまた支出を行なうことで、貨幣は経済の中を循環するというわけです。

これが図表2の実線の矢印、つまり貨幣循環の行きの流れです。

もちろん、政府部門を入れた貨幣循環の過程でも、民間部門の貨幣循環と同じように、貨幣が戻ってくる流れもあります。

民間部門の貨幣循環では、企業は、事業を行なうことで収入を得て、貨幣を獲得し、それを民間銀行への債務の返済に充てました。その結果、貨幣が破壊され、消滅して、貨幣循環が完結しました。

これに対して、政府は、強制的に税を徴収することで貨幣を還流させ、それを中央銀行への債務の返済に充てます。つまり、政府が徴税して債務を返済すると、貨幣が破壊され、消滅するということです。