財政赤字でなければならない納得の理由

政府部門の貨幣循環についても、わかりやすい絵で表現すると、図表3になります。

蛇口から水槽へと流れる水は、政府が債務を負うこと(貨幣創造)で支出した貨幣を意味しており、水槽につけられた排水管は徴税を意味し、排水管から水槽の外へ流れる水は、政府債務の償還(貨幣破壊)を表現しています。水槽は、国の経済全体です。

水槽(国の経済)の中に水(貨幣)が貯まって流れているためには、蛇口から流れる水(債務)のほうが、排水管から排出される水(返済)よりも多くなければならない、つまり財政赤字でなければならないことがイメージできると思います。

以上が、政府部門を考慮に入れた貨幣循環の過程になりますが、ここから、いくつか重要なことが確認できます。

企業も政府も「支出が先、収入が後」

①政府支出が先、税収が後

図表2の実線の矢印からわかるように、政府は、支出にあたって、税収を必要としていません。政府の財政支出が先にあって、徴税はその後(図表2の点線の矢印)に行なわれています。

企業も「支出が先、収入が後」でしたが、政府も同じなのです。

②政府の財源=中央銀行による貨幣創造

これが重要なのですが、政府の公共需要さえあれば、中央銀行はいつでも貸出し(貨幣創造)を行なうことができます。この点も、民間部門の貨幣循環における企業と同じです。

政府支出の財源とは、支出に使う「貨幣」のことでしょう。その貨幣は中央銀行が創造するのです。

③税は、政府支出の財源確保の手段ではない

いよいよ、財源問題の核心に迫ってきました。

一般に、政府が税金を徴収するのは、政府支出の財源に充てるためだと信じられています。しかし、図表2を見てください。

②で述べたように、貨幣を創造し、それを政府に供給しているのは、中央銀行です。

政府支出の財源は、中央銀行による貸出しです。税収ではありません。

しかも①で述べたように、政府は、貨幣を支出した後で、徴税を行なっています。したがって、政府支出の財源が税収であるはずもないのです。