映画や音楽がネットで手軽に視聴できる時代に、レンタルDVDでおなじみの「GEO」の運営会社が急成長を遂げている。戦略コンサルタントの鈴木貴博さんは「レンタル市場はここ10年で縮小している。ゲオはレンタル事業と親和性のある新たなビジネスに鉱脈を見つけた」という――。
ゲオ秋田牛島店
ゲオ秋田牛島店(写真=掬茶/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

急成長を遂げる「GEO」の運営企業

名古屋出身の戦略コンサルタントの鈴木貴博です。名古屋からスタートして全国区企業になり、元ベンチャー企業から東証プライム上場企業になったのが、CDやDVDのレンタルでおなじみの「GEO」を運営する「ゲオホールディングス」(以下ゲオ)という会社です。わたしの東京の自宅と最寄り駅の間にもネイビーと黄色の「GEO」の看板を掲げたお店があって、もう20年来このお店を使っています。

さて、あくまで個人の感想ですがここ10年ぐらいは、

「このお店、いつかなくなっちゃうんだろうな」

とか、

「なくなったら不便になるな」

と心配していたのです。映画も音楽もサブスク全盛の時代が来たので、レンタルなんて時代遅れになっているわけです。でもおじさん世代にとってはGEOのお店は何というか便利で心が落ち着く存在なのですよね。

そんなことから気になってゲオの決算を調べてみたのですが、驚いたことにゲオは大成長企業なのです。直近の2023年3月期の第3四半期決算を見ると、第3四半期売上高は5年連続の増収で前年比14%の売上増。営業利益は約114億円と前年同期比で倍増です。

レンタル事業での売上はたった1割に過ぎない

ではなぜゲオは成長しているのでしょうか。実はというか想像通りなのですが、国内の音楽・映像レンタル市場はこの10年間で3分の1に縮小しています。ゲオ全体の売上でもレンタル部門は唯一の売上減少部門になっています。

しかし直近の第3四半期決算の売上構成を見るとレンタルはもはやゲオ全体の1割。売上の半分以上を占めるのがリユース事業です。具体的に言えば、今、GEOのお店に入ると入り口付近にずらりと並ぶのがiPhoneやiPadなどの人気スマートフォンやタブレットの中古端末。この中古販売がゲオの売上の主力になっています。