統合リゾートを建設すれば、その国の観光客を増やすだけでなく、消費を喚起し、雇用を創出する。「マリーナ・ベイ・サンズ」は、シンガポールに世界中のミドルからハイエンド層の観光客を呼び、経済効果をもたらした。雇用創出面でも効果大だ。マカオの「ザ・ヴェネチアン・マカオ」での直接雇用は1万5000人であり、「コタイ・セントラル」のオープンによって、さらに1万5000人から2万人の新規雇用を生む予定だ。

日本にはこれまで60~70回ほど訪れている。1980年代初めには、幕張メッセをつくる際に相談を受けた。当時の単なる埋め立て地が、いまは一大都市である。このように幕張メッセがいかに千葉の経済に貢献しているかがわかる。

私は統合リゾートを日本につくりたいと考えている。東京と大阪で60億ドル(約4800億円)規模の施設だ。二都市には、交通と観光のインフラが整っていて、大型展示会の需要もある。この件で最近、橋下徹市長にも会ったばかりだ。彼は統合リゾートについてよく理解している。しかしながら、日本に統合リゾートが一つも建設されていないのは、カジノが法律で禁じられているからだ。

シンガポールのケースを提示したい。○○年、シンガポール政府は法律を改正し、カジノを合法化した。統合リゾートの重要性を理解したからである。政府の判断が正しかったのは、その後の経済成長、観光客数増をみれば明らかだ。カジノ解禁に反対する理由として、日本では治安面への不安を挙げる声も少なくないと聞くが、現在のシンガポールの治安の良さをみると、何らマイナスの作用がないことがわかるだろう。

11年4月から12年1月までの10カ月間、カジノによってシンガポールにもたらされた税収は9億シンガポールドル(約591億円)。11年、マカオのカジノ収入は2678億6700万パタカ(約2兆7000億円、前年比42%増)に上った。マカオでは、税収の7割がカジノからのものだ。統合リゾートによって、大勢の外国人観光客が日本に訪れ、雇用が創出され、新しい税収が生まれる。我々は規制をクリアし、税金を払う。統合リゾートの建設は日本が再び成長に転じるための大きなチャンスなのだ。

※すべて雑誌掲載当時

(野崎稚恵=インタビュー&構成)