誰もがアバターで人生を自由にデザインする

次に2050年までの目標として設定されているのが「複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する」ことだ。

職場のトップビューでテーブルの上に銀と黄金の色のギアを一緒に参加するビジネスの人々のグループ
写真=iStock.com/ALotOfPeople
※写真はイメージです

その具体的なイメージを石黒に聞いてみた。「コロナ禍で、家でできることは家でするというように生活様式が変わってきています。しかしオンラインの会議システムだけでは、十分な活動ができません。学校や会社では、世界中の人がアバターに乗り移って活動し、プロジェクトを進める環境が重要になってくると思います」

新型コロナウイルス感染症の予防対策のひとつとして、在宅勤務が本格化した。各地で適用されていた緊急事態措置やまん延防止等重点措置が解除されると、以前のように出社する形に戻った会社も多いが、一方で在宅勤務を評価し、オンラインによる業務をさらに進めようとする企業も見られる。

仕事では、ひとりで仕事に集中する時間も必要だが、誰かと対話することで作業が進むことも多い。しかし自宅には、相談できる仲間や専門家はいない。そんなとき経理や法律、コーチングなどの専門家がアバターで助けてくれると、仕事は、はかどるだろう。

仕事に社会性は不可欠であり、孤立して仕事をすることはできないからだ。

人とアバターによる効率的分業

これまではオフィスや学校が担ってきたその役割を、アバターが担当してくれる。高齢者や障害者を含む誰もが多数のアバターを用いて、認知能力や知覚能力を拡張しながら、様々な活動に自在に参加できるようになる。いつでもどこでも仕事や学習ができる。ワークライフバランスをとりながら、自己実現が可能となる。人生の時間は有限だが、アバターは限られた自分の時間を有効に使う助けになるだろう。

さらに新型コロナウイルス感染症の初期の診断は、病院に行くより、家でアバターに診察してもらったほうが安心だ。認知症や重症患者を在宅や施設で看護する場合も、複数のアバターによる重層的な見守りが役に立つ。

「専門医と、ふだんの状態をよく知っている看護師やソーシャルワーカーが連携すれば、専門的な知識も使いながら、日々の看護をより充実させることができます」あらゆる人が自分の人生の過ごし方を、自分の好みに合うようデザインすることができる。そんな未来を石黒は目指している。