資産に変わる読書

それに対して「資産に変わる読書」とは、「本で得た学びによって何かを継続的に生んでいる状態」をさします。

先ほどの『シン・ニホン』を例に挙げると、この本から得られる学びは、図表1のように整理できます。こうやって紙1枚に整理しておくことで、本の学びを資産として取り回しやすくなります。

【図表】『シン・ニホン』からの学び

そして、本書に登場する「ビジネス力×データサイエンス力×データエンジニアリング力」という枠組みに着目したとしましょう。この枠組みに共感して、「ビジネス力×データサイエンス力×データエンジニアリング力」の3つを学習して、スキルアップを図ったとします。すると、この本で学んだことが、スキルという無形資産へと変わります。

そのスキルをさらに活用すれば、転職をして年収を上げることもできれば、コンテンツ化してブログやセミナーなどで発信して収入を得ることも可能でしょう。

ここで重要になってくるのは「費用の資産化」という考え方です。読書に限らず、おそらく誰もが「他人よりも時間やお金をかけているもの」があるはずです。

たとえば、次のようなものです。

「激務で残業時間がとてつもなく長いプロジェクトを担当することになった」
「子育てと仕事と大学院での学習が重なって、恐ろしく忙しい思いをした」
「毎月10万円以上を洋服の購入代金に使ってしまう」

こういった「他人よりも時間やお金を割いているもの」「人よりも苦労している経験」をそのまま放置しておくと、ただの「費用」として右から左に流れて行ってしまいます。激務の経験を「あのときは大変だったなあ」と昔話だけに使うのは、あまりにも、もったいないでしょう。

このとき「費用を資産化する」という考え方を持っている人は、次のような行動を取ります。

「激務で働いて身についた時短スキルを勉強会やセミナーで教えてみよう」
「子育てと仕事と大学院での学習の3つを支障なく成立させる方法をブログで発信しよう」
「毎月10万円以上を洋服に使っているから、どんな視点でどんな洋服を選んでいるかをユーチューブで発信してみよう」

こういった意識を持っておくと、お金や時間を使った経験や苦労した経験を、「一生価値を生み出しつづける資産」へと進化させることができます。

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