投資家向けのページに出ていることも

会社によってはホームページや統合報告書でサクセッションプラン(後継者計画)の枠組みなどが掲載されているので、見てみるとよいでしょう。社員にはあまり説明されていないことも投資家向けのページには載っていたりします。しっかり確認しておきましょう。

たとえば、筆者が勤務しているパーソルグループのホームページを開いてみると、「企業情報」というタグがあり、そこから「ガバナンス・コンプライアンス」>「コーポレートガバナンス」>「サクセッションプラン」へと潜っていくことができます。また、「投資家情報」または「サステナビリティ」というタグから「統合報告書」を開くと、「サクセッションプランについて」という項目があります。他の会社のホームページも、ほぼ同様の作りです。

役員候補者はいつ選ばれるのか?

新入社員の採用段階で、グループ全体のCxO(CEO、CFOなどの最高責任者)へのポテンシャルが期待できそうな人材には人事部がフラグを立てて、育成対象にしている。その下の各ファンクションの幹部候補者は30代前半くらいで選抜して、人材プールを作っている(製造業人事部)

さすがに新卒採用段階で役員候補のフラグを立てる会社は珍しいですが、候補者の年齢層を意識する会社は少なくありません。ヒアリング調査では、役員候補の人材プールを作る会社のうちの半数は、プールに入れる人材の年齢層をコントロールしていました。それらの会社は、だいたい30代半ば前後で次世代経営人材プールを編成する傾向にあります。このタイプの人材プールを「中長期育成投資型」と名付けておきます。

本体の役員やグループ会社の社長に40代前半で就任するとした場合の逆算でプール人材の年齢を考えていて、20代~30代前半の若手HIPO人材をピックアップしている(情報通信業人事部)
経営人材候補は30代半ば~40代半ば。普通に選ぶと50代が多くなるが、人材プールは育成を目的としており、育成の伸びしろを重視して意図的にこの層にしている(化学メーカー人事部)
執行役員は早ければ40代半ばから登用される。人材プールは上級管理職層からではなく、初級管理職層の30代半ばの若手を中心に選抜している(小売業人事部)