日本はアメリカに同調する必要はない

もし仮に、「最も手ごわい競争相手」と認めたアメリカが中国の封じ込め策を試みたとしても、日本は無視を決め込むべきだと思う。なぜなら、歴史上このような封じ込め策が成功した例は見られないからだ。アメリカの試みはおそらく失敗するだろう。

かつての覇権国・オランダも、造船技術をオランダから取り入れたイギリスを封じ込めようとしたが失敗に終わり、イギリスがオランダにとって代わった。同様に、イギリスが精密機械のマニュアルなどをアメリカに渡さず、封じ込めを試みたが、結局うまくいかなかった。

日本は、失敗に終わる可能性の高いこの試みに加わらないほうがいい。「われわれは中国と貿易をする必要があるので、封じ込めは策には加担しない」と訴えるべきだ。

「不要な戦争」に参加してはいけない

ロシアのウクライナ侵攻以降、北朝鮮も韓国や日本、アメリカを意識した攻撃的な姿勢をとり続けている。中国と日本との関係も相変わらずだ。このように日本はロシア、中国、北朝鮮、韓国といった「何をしてくるか予測できない国」に囲まれているが、今後これらの国々と日本との関係性がどうなっていくかは、すべて日本側の出方次第だろう。

たとえば今、台湾をめぐって米中戦争勃発のリスクが高まっているが、日本が戦争に巻き込まれた場合、自衛隊が参戦する可能性は高い。これはどの国にもいえることだが、「不必要な戦争」に参加していいことは絶対にない。たとえ勝っても莫大な資金、専門知識、人命を失う。負けた場合はいうにおよばない。結局のところ、戦争に「真の勝者」は存在しないのだ。

ひび割れた壁に描かれた、星条旗と五星紅旗と台湾の「青天白日旗」
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