シンプルな思考はエレガントさにつながる
人生は決断の連続だ。朝起きて、夜眠るまで、いくつもの選択をしなければいけない。だからこそ、集中すべきものがあるときは「考え事を少なくする」ことが有効になる。余計なエネルギーを使わないで済むからだ。また日々の行動をルーティン化することで、集中力を高めることができる。
アップル社のCEOを務めていたスティーブ・ジョブズは三宅一生がデザインした黒のモックタートルネックとリーバイスのジーンズ、ニューバランスのスニーカーを愛用していたのはあまりにも有名な話だろう。服装選びという朝の決断を省略することで、仕事に集中するためだといわれている。
ジョブスの服装はシンプルでありながら、こだわりが感じられる、非常にクールなスタイルだ。アップル製品の上品な美しさと実用性を自ら表現しているようだった。イチローさんも非常にエレガントな野球選手だった。物事はシンプルに深く考えた方がいいということなのかもしれない。
野球選手でいえば、イチローさんと同じく日米で活躍した松井秀喜さんは、「自分にコントロールできないことは、いっさい考えない。自分にできることだけに集中するだけです」と語っているが、イチローさんも同じ趣旨の言葉を残している。
また有森裕子、高橋尚子ら女子マラソンの五輪メダリストを育てた名伯楽・小出義雄さんも、「ほかの人と比較するんじゃなくて、自分がいまよりも強くなることだけを考えなさい」という指導スタイルだった。
周囲に惑わされることなく、日常生活の一部をルーティン化するなど、シンプルな思考を持つことで、より洗練された人生を過ごせれば、スポーツでも仕事でもパフォーマンスが上がるに違いない。