「103万円」の壁を越えてもお得になる働き方

では、「106万円の壁」に直面したときの、ケース別シミュレーションをしてみます※3

① 年収103万円の人

たとえ勤務先が101人以上であっても、年収が106万円を超えないので影響はありません。このケースでは、所得税の負担はありませんが、住民税の均等割と雇用保険料※4がかかりますので、手取りは101万9850円です。

② ①の人が時給アップで年収110万円になると……

これまでは年収を103万円に抑えていたのに、時給が上がったために年収が110万円になってしまうケースです。社会保険料の負担が発生するため、手取りは93万2421円となり、103万円のときより8万7429円少なくなってしまいます。20年間働くと仮定すると、その差は174万8580円です。

一方、20年間厚生年金に加入することによって、厚生年金が年間12万1841円増えます。手取り減少分の174万8580円を上回るだけの年金を受け取るには14年4カ月かかります。女性の平均寿命が87歳ですから、長い目で見ればお得と考えることもできます。

※3 介護保険料が発生する40歳以上として計算。手取り額は自治体により若干異なる
※4 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みあり/1週間当たり20時間以上働いている/学生でない

110万円→122万円は手取り減少を抑えられる

③ ②の人が年収を122万円まで増やすと……

②のケースでは、手取りが大きく減ることから、労働時間を短くして社会保険料負担を回避する選択肢もありますが、せっかく時給が上がったのなら、年収103万円のときと同じくらいになるように、働く時間を増やすという選択肢もあります。

月に1万円分多く働けばよいので、時給にもよりますが、週に2~3時間多く働くことができれば何とかなりそうです※5。この場合、手取りの減少はわずか1389円となり、20年間で2万7780円です。一方、厚生年金増額分は年間14万3994円ですから、3カ月受け取れば手取りの減少を上回ります。

④ これまで年収129万円に抑えていた人

夫の社会保険の扶養の範囲におさまりますので、社会保険料の負担はなく、手取り年収は126万5450円です。

※5 マイナビ「2022年12月度 アルバイト・パート平均時給レポート」の全国平均時給1177円を基に計算