油の摂取は体重を増やすのだろうか。医師の大脇幸志郎さんは「高炭水化物食より高脂質食のほうがやせるという実験結果がある。太るかやせるかを左右するのは、脂質よりも糖質である」という――。
鶏の唐揚げ
写真=iStock.com/KPS
「油は太る」はウソだった(※写真はイメージです)

実験でわかった「油はやせる」

当たり前のことですが、食べれば体重は増えます。

テレビや雑誌には星の数ほどのダイエット食品が出てきますが、カロリーゼロの寒天のようなものでも、おなかに入れれば、食べたぶんは体重になります(尿と便になって出ていくまでの話ですが)。

食べると体重が減る「魔法の食べもの」は存在しないわけです。

しかし、「ダイエットのためには食べたほうがいいもの」はあるかもしれません。それが油です。

油はやせます。逆に言えば、ダイエットのために油を減らすのは賢いやりかたではありません。

食事における脂肪の割合を増やすと、ほかの食べ物の摂取量が減るため、体重が減ります。

これはいくつもの実験から証明されています。

たとえば、2023年1月に『Annals of Internal Medicine』というトップクラスの医学専門誌に載った論文があります。

この論文では、カロリー制限なしの「高脂肪・低炭水化物食」と、「低脂肪・高炭水化物食」を比較した実験が報告されています。2型糖尿病を持つ人を対象に、糖尿病および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)への影響を調べた実験です。

要するに、パンとかイモとかの炭水化物を減らすかわりに油はたくさん食べる場合と、逆に脂肪を減らし炭水化物をたくさん食べる場合を比較したわけです。

この実験では、「高脂肪食」として、摂取カロリーの50~60%を脂肪で摂取しました。2019年の国民健康・栄養調査によると、日本人は平均して摂取カロリーの30%弱を脂肪で摂取していますので、その2倍です。