前後の文脈をたどれば納得のいく内容であることが多い

実は僕自身もコメンテーターとして活動し始めた頃、そのレベルの差を、身をもって学びました。自分の発言が「炎上」しうることは承知のうえでの「発言」。しかし、その規模感は想定以上で、日本全国総バッシング状態も味わいました。仮に皆さんがコメンテーター気分で何かしらの見解を発言する際も、自分の味方ではなく、アンチの立場の人々に向けて発言する意識が大切です。自分のそのコメントが重箱の隅をつつくがごとくに扱われることを前提にマイクを握るべきなのです。

実は「失言」も、前後の文脈をたどれば納得のいく内容であることが多い。「死刑のはんこ」発言も、決して法相の任務を軽視する意図があったわけではなく、法務省は企業とのコネクションが弱いので政治資金や票を集めにくいという立場を説明するための自虐ネタでした。それでも「死刑」を引き合いに出してしまったところに、世間と個人の認識の「ズレ(乖離)」があり、さらにマスメディアに載ったことで、内輪での軽口から、絶対アウトの失言に激変してしまった。

「自分の話は面白い、周囲にウケる」と自信を持っている方、それは「身内だけ」の話だからです。失言とならずに身内の「外」の人たちを笑わせるには、相当な技術が必要であることを肝に銘じましょう。

(構成=三浦愛美 撮影=的野弘路)
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