大河史上最もトリッキーだった徳川家康
大河史上最もトリッキーだったのは、大河のみならず民放局の時代劇で何度も家康を演じてきたあの人である。
6位 北大路欣也 30点「青天を衝け」(2021年・NHK)
主人公は吉沢亮が演じる渋沢栄一。近代資本主義のフロンティアとされるも、大河で描くには微妙に知名度が低い。そこで案内役としてオープニングを飾ったのが北大路欣也演じる家康だった。
自己紹介に始まり、渋沢が徳川家臣だったと解説。スタジオで時代背景や人間関係を手短に語る欣也家康。バックではパネルや映像とともにパントマイムのパフォーマンス。
初めは「興ざめ」と思ったが、欣也家康の解説は私のように歴史に疎い人間を物語に優しく導いてくれた。割と頻繁に登場し、物語の展開に合わせて嘆いたり、反省したりと家康公の感情も表現。最終的には、威厳も風格もある欣也家康が出てこないとちょっと寂しい、とさえ思わせた。
コメディとの相性も◎
5位 三宅弘城 40点「小河ドラマ 徳川☆家康」(2023年・BSフジ)
三宅弘城主演、“非”本格派時代劇のシリーズ第3弾。歴史上の偉人が現代にタイムスリップ、せこいエピソードを軸に展開するコメディだ。
過去、織田信長・坂本龍馬ときて、今年は家康。
関ヶ原でカチドキを挙げたとたん現代へきてしまった三宅家康は、なぜかテレビドラマのADに。制作陣は家康を主人公にしたドラマを企画するも、「地味で面白くない」「長生きしただけ」「勝てる戦しかしてない」「おこぼれ天下」とディスりまくり。
ちょっと厄介な時代劇大御所スター(松平健)が家康を演じることになり、三宅家康は全面的に協力するも、史実の家康像と自分の理想像の差に戸惑い、落ち込んだりもする。馬鹿馬鹿しいけど意外に適役。
ランク外だが、Netflixのドキュメンタリー「エイジ・オブ・サムライ」(2021年)も、設定をやや無視しながらも再現ドラマで武将たちを描いていて、興味深かった。
家康を演じたのは真青ハヤテ。パルクールの演出や指導もできるアクション俳優だ。
若く猛々しいハヤテ家康は新鮮。海外制作は見せ方が面白いよね。ちなみに他の武将はアメリカで活躍する俳優陣、伊達政宗は伊藤英明が演じていた。
おっと、亜種・家康が続いてしまった。記事から離脱する人をひきとめるために、そろそろ本格的な家康について語ろう。