戦いでも映画でも石田三成に勝った

1位 役所広司 70点「関ヶ原」(2017年・東宝)

この映画の主人公は石田三成(演じたのは岡田准一)。豊臣秀吉(滝藤賢一)が天下人となり、家臣として重用された三成の暗躍と苦悩を描く。

役所家康は見た目の迫力に策士としての鋭さ、無邪気さと残酷さのハイブリッドが凄くて、ちょっと別格の内府だった。嫌悪感すら覚える家康像だが、ポイントの要素をほぼ満たし、史実のエピソードもてんこもり。2時間ちょっとの作品で、奥の深い家康を体現。

映画「関ヶ原」のロードショーが始まり、舞台あいさつする東出昌大さん(前列右端)ら出演者=2017年8月26日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
映画「関ヶ原」のロードショーが始まり、舞台あいさつする東出昌大さん(前列右端)ら出演者=2017年8月26日、東京都千代田区

関ヶ原に向かう前に、母衣(ほろ・馬に乗るときに武士が背中につける武装具のひとつ)を作るシーンが印象的だ。

籠を編みながら母衣の由来を説く。戦場と母の胎内は生死の境目という点で同じだと語り、18年前を振り返る。「本能寺の変」では信長が絶命し、家康自らも伊賀の山中に逃げ、腹を斬ろうと覚悟して母衣を編んだという。

年月を経て、異なる境遇に絶対的な自信と覚悟ものぞかせる、いいシーンだった。「武将・家康」としてはダントツの矜持を表現。

松潤家康にも期待

てなことを思い出しつつ、今年の大河「どうする家康」。

初回は「馬のシーンがちゃちい」「松本潤と有村架純のおままごとシーンはさすがにキツイ」「野村萬斎、舞って瞬殺」「#俺の白兎」など、おおいに話題を呼んだ。

怯えて隠れて逃げまくり、常に岐路に立たされる、威厳なき元康時代。

ある種の「珍味」と思いながらも、今後展開されるであろう新しい家康像におおいに期待しちゃっている。

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