共通する3つの要素

林さんが使った「期待とはベクトル」は、期待をAとしたときベクトルがBであること、そしてAとBが同じ構造であることを表現しています。

深沢真太郎『「数学的」話し方トレーニング』(PHPビジネス新書)
深沢真太郎『「数学的」話し方トレーニング』(PHPビジネス新書)

期待とは大きい・小さいという表現をしますから「数量」と捉えることができます。

一方、期待というものは人からされるものですが、どの「方向」でされているかという視点もあるのではないでしょうか。例えばあなたが会社員だとして、上司から期待されているとします。その期待はプレイヤーとして成果を出して欲しいのかもしれませんし、管理職としてのパフォーマンスを期待されているのかもしれません。期待というものには必ず方向があり、その方向を正しく認識しておくことは重要でしょう。

・「数量」で表現できる
・「方向」がある
・この2つのうち少なくともひとつが異なればそれは「異なるもの」と定義する

この3つで作られているものは何かと考えたとき、おそらく数学にも精通している林さんにはベクトルというものが浮かんだのではないでしょうか。「期待」というものを「ベクトル」でたとえたのは2者が同じ構造をしているものだと捉えた結果であり、そして「期待」というものの構造を見事に表現した言葉だと思います。

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