報告書が推奨する政策の中には、アメリカが払う高い代償を減らし、侵攻をめぐる中国の損得勘定を損失側に傾かせ、究極的には中国に侵攻を思いとどませる方策が含まれている。そのためには、台湾は軍備で圧倒的に強大な中国に非対称戦争を仕掛けるべく、小規模の兵器や部隊を全土に配備する「ヤマアラシ戦略」を引き続き採用し、日米は外交と防衛の絆の深化に優先的に取り組む必要がある。
ウクライナを例にとりつつ、著者らは欧米が物資を支援する「ウクライナ・モデル」は台湾には通用しないと指摘する。「中国が台湾を包囲し、何週間、ことによると何カ月も孤立させる恐れがある」からだ。
「台湾は侵攻に備えて、必要な物資を十分に備蓄しておくべきだ。また、アメリカが介入に手間取ったり、中途半端な介入をしたりすると、防衛は一層困難になる」と、著者らは釘を刺す。「米軍の死傷者が増え、中国が占領体制を強化し、戦闘がエスカレートするリスクが高まるだろう」
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら