――どうして撤収したのでしょうか。

【F医師】業者の方も問題を分かっていたのではないでしょうか。副作用のモニタリングもしないまま、要するにふたをしちゃったんです。だから、そういうのはやっぱりジェネリックにはあるんですね。副作用が出たとしても、ちゃんと対応する。例えば同じロットの薬を使った場合の、患者の血中濃度を測って、ちゃんとレポートして来るのは、大手の沢井製薬ぐらいですね。

製品の成分も全部分析して2、3週間後に持ってきますね。この前問題を起こして新聞にも出たあるメーカーは、まあ無茶苦茶ですよ。何かあっても知らんぷり。売ってそのままの会社もあるってことです。

健康コストとインフレに関する新聞の見出しの切り抜き
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「80%普及」という厚労省の目標

――製薬会社も無理な急成長をしているのではないですか。

【F医師】生産ラインを増やしても、品質の管理が十分できてない。厚労省は早くから80%普及の目標を立てていました。私も厚労省側から意見を聞かれたことがありますが、絶対に不良品が出ると言ったんです。もう8年前のことですが、本当に事故が起きて死者が出ましたよね。

反対に「先生はどれぐらいの割合がいいですか」って聞かれたので「6割ぐらいがいいですが、8割はダメです」とはっきり警告したんですよ。当時は、普及は40%が適当だなんて言われてたんですよ。それを急に8割にするって言うから、もう絶対やめとけって言ったんです。

――どうして厚労省はそんなに急いだんでしょうか。

【F医師】まずは医療費の抑制だと思うんです。医療費は高騰していますから。やっぱりその抑制が一番メインだろうと思うんですけども。僕もこれよく分からないっていうか、噂なんですけどね、新しい天下り先をつくろうとしたのではないか。

大手のメーカーさんは、厚労省の役人の天下りを受けつけなくなっている。それで、ジェネリックの普及を図ればあちこちに新しい天下り先もできるし、医療費は抑えられるし、一石二鳥だったのかもしれません。

「効く薬もあるし、基本的には安くていい」

――一般的に担当医が処方箋を書く時に後発禁止と書けば、ジェネリック薬は使えないそうですが。

【F医師】はは、僕はそうは書きません。それはね、僕はジェネリックを全部否定してるわけじゃないのでね。とはいえ、僕は個人的には7掛けぐらいかなって思っています。効く薬もあるし、基本的には安くていいです。ただ、8割普及の政策には、無理があるという意味です。僕はジェネリックの認可基準がおかしいんじゃないかと思ってるんです。時間があれば調べたいと思っています。