――実際に問題も起きました。どうすればいいでしょうか。

【F医師】これ、やっぱりパーセントを無理に上げないで、メーカーの品質管理を、もうちょっと努力させるってことでしょうかね。戦争が起きたウクライナや、中国やインドから原薬の粉末っていうか、材料が入って来ていることが多いんですよ。

例えば中国で内紛が起きるとか、インドで問題が起きたら、薬品の確保が難しくなるでしょう。8割普及させて、そういう国際的な問題が起きた時にどうするかっていうことです。全部先発品を使え、先発品のメーカーを儲けさせよ、と言うつもりはありませんけどね。

――患者さんの立場からしても、3割負担であり、安くて効能の高い薬をたくさんもらえれば安心だと、頼りすぎてる部分がある気がします。

【F医師】そもそも何種類以上か薬を処方すると、思わぬ副作用が出てしまいます。だからできるだけ薬の量を少なくする。できるだけ少ない薬量で、値段も安く抑えられて財政の改善にも貢献できるというのが、やっぱりベストでしょう。そういう意味でも、生活習慣病で飲む薬はできるだけ減らす努力っていうか、患者が努力しないといけませんよね。

私あんまり、(処方で)薬を出さないんですよ。胃がんの手術をしても薬を出さないことが多いんです。患者さんから「先生、薬ください」って言われる。だけど、いらんって言ってる。年配者の場合はしょうがないですけどね、若い人なら「あなた若いから自然に治ってきます、大丈夫ですよ」と言います(笑)。

約30分間、病院内でZoomによるインタビューに応じてもらったが、別の予定があるというので、ここで打ち切りとなった。あくまで1人の医師の考え方だが、現場での感覚は貴重だ。あなたはどう考えるだろうか?

「ジェネリックをオススメする」と答えた医師は3割以下

医学博士であり内科医でもある志賀貢さんは、医療に関する数多くの本を書いている著名人だ。その志賀さんが『医者はジェネリックを飲まない』(幻冬舎)という本を2019年に出している。ジェネリック薬を巡るさまざまな事件や、医師として考え方が書かれていて参考になる。志賀さんは、2019年にテレビ東京系で放送された「主治医が見つかる診療所」という番組のことを紹介している。

医師を対象に「ジェネリックをオススメするか、しないか」というアンケートがあった。回答した50人の医師たちのうち、オススメすると答えた医師は、わずか13人(26%)にすぎず、そしてオススメしないが12人、どちらともいえないが25人だった。「おそらく私も回答を求められたら、患者さんにはお勧めできない、と答えたに違いないと思います」(志賀さん)。